2024年11月22日 6 min read

Liquid Networkはライトニングのライトユーザーの受け皿になりうるのか?試算してみた

ライトニングノードやチャネルの維持には費用がかかります。現行のノンカストディアルウォレットはLSP型が主流ですが、エンドユーザーがLSPに支払う手数料は足りているのでしょうか。この夏の記事でも紹介したように、そんなことはないという事例が蓄積してきています。

LSPは儲からない?ノンカストディアル・ライトニングウォレットを支えるインフラからVoltageが撤退
皆さんが主に使われているライトニングウォレットはノンカストディ型のものでしょうか? ライトニングウォレットは大別するとカストディ型・ノンカストディ型に分けられますが、一般的にはカストディ型のもののほうが人気があります。ライトニングノードほどではなくとも、初めて使うときにチャネルの開設が必要であったり、ときどき起動して同期しないといけないなど、多少の不便やコストがあるためです。 とはいえ、ノンカストディ型のライトニングウォレットにも需要はあり、大きな金額を安心して使いたいユーザーが使っていたり、カストディ型のウォレット運営が規制面などで難しい地域で提供されていたりします。昔はスマホにがっつりライトニングノードを丸ごと載せてしまうアプローチも試されたりしましたが、今は「LSP」と呼ばれるサービスプロバイダーと二人三脚でライトニングノードとして機能する、軽量な「LSP型のライトニングウォレット」が主流となっています。 具体的にはPhoenix、Breez、Zeus、Blixt、Mutinyなど多くのウォレットがこの形態を採用しており、LSPという存在がノンカストディ型のライトニングウォ

最近でいえば他社にもサービスを提供しているLSPでは最大手と思われるBreezが10月にユーザーのBTC保管にLiquid Networkを使った「Breez SDK Nodeless Liquid Implementation」をリリースし話題になりました。従来だとBreez LSPがエンドユーザーにライトニングチャネルを割り当てていましたが、これを使えばライトニングの送受金はすべてアトミックスワップでLiquid Network上のL-BTCに変換され、ユーザーはオンチェーンウォレットのように秘密鍵を保管するだけで十分になります。ノードやチャネルの維持費はかかりません。

ランニングコストや資本配分の難しさと言ったエンドユーザー向けノンカストディアル型ライトニングの課題をサイドチェーンやアルトチェーン上のWrapped BTCなどで解決する試みは今後トレンドになる可能性があります。Liquid Networkをライトニングのライトユーザーが使えるノンカストディアルな送受金手段として見たとき、どれくらいのユーザー数にまでスケールできるかについて具体的な数字を試算し、他にも検討事項がないか考えてみました。

・決済金額が月1万円未満のライトユーザーがライトニングチャネルを保有するのは非合理的な場合が多く、長い目で見ると減っていくかもしれない

・Liquid Networkをエンドユーザーの受け皿にしてアトミックスワップを使ったノンカストディアル型ライトニングウォレットを作った場合のスケーラビリティ

・それ以外のUXの変化も含め、Liquid Networkはライトニングのラストワンマイルとしてどれくらい使えるのか?

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