送金時にマルチシグトランザクションのデータを署名者達が共有する際の形式を定めた規格であるPSBTは今からおよそ2年前に初めてBitcoin Coreにてサポートされましたが、最近リリースされたElectrum 4.0がPSBTに対応するなど、他のウォレットにおいても着々とPSBT対応が広がっています。
また、ハードウェアウォレットでも、Cobo VaultやColdcardなどエアギャップを保つことに重点を置くものはPSBTに対応しており、有線・無線を問わず一度もインターネットに接続した端末に繋げることなくPSBTによるマルチシグトランザクションに署名することができます。高いセキュリティが必要なユースケースにおいて、非常に心強い存在かと思います。
今回はPSBTを扱うことに特化したツールを2つ紹介します。
PSBTについては2月に投稿した「署名途中のマルチシグトランザクションの共通規格PSBT」をご覧ください。当時まだPSBTに対応していなかったElectrumとBluewalletは今では両方とも対応しています。
なお、普通にPSBTを利用するには恐らくElectrumやBluewalletで事足りると思います。
PSBTを作れる”SPECTER DESKTOP”
Specter DesktopはBitcoin Core用のブラウザベースのUIで、複数のハードウェアウォレットに対応しています。実際の機能は全てBitcoin Coreに依存しているので、Specter Desktop単体では使用できません。
Bitcoin CoreのGUIは一般的なソフトウェアウォレットと比べてかなりレベルが低く、オマケ程度なイメージがありますが、Specter DesktopはChromeで動作して比較的オシャレな画面で簡単に新しいウォレットを作ったり、トランザクションを作成してハードウェアウォレットで署名することができます。
SpecterのミッションはBitcoin CoreのUIとして特にエアギャップのコールドウォレットを使用したマルチシグの使用感の向上なので、「Coldcard」「Specter DIY」「Other Device」からカテゴリを選択してデバイスを登録(マスター公開鍵の登録)をすることでウォレットを監視できるほかに、登録したデバイスを直感的にマルチシグウォレットの署名鍵としてセットアップできます。