2020年4月8日 3 min read

BinanceによるCoinMarketCap買収の狙いと是非

コロナで世の中のニュースが埋め尽くされている間にBinanceがCoinMarketCap(CMC)を400億円相当(噂)で買収、という中々大きなニュースがありました。第一印象は驚きと、CMCはこれで終わりか~、と思ったのですが、冷静にもう少し考えて見ると、今回のBinanceの狙いや合理性が見え、考えが変わった部分もあるので紹介します。

知る人ぞ知るCOINMARKECAPのすごさ

まずCoinMarkeCapの「凄さ」をさらっと紹介します。

CMCはおそらく仮想通貨を触ったことがある人で、使ったことがない人はいないんじゃでしょうか。 仮想通貨データ提供サイトの元祖で、時価総額によるコインランキングの作成、APIによるデータ提供、仮想通貨のDominanceチャートなど我々が日常的に使っている概念やデータなどはCMCが全てパイオニアとして作ってきたと言っても過言ではないです。しかもそれでいてこの会社は一人のエンジニアが自費で立ち上げたもので、比較的少数のチームで外部からの資金調達なしで最も利用されている仮想通貨サイトという座を確立しました。それだけでもすごいですね。

SimilarWebによると、CMCの現在の月間アクセス数は3600万。これは第二位の競合であるCoinGeckoの800万の4倍以上で圧倒的。BinanceやCoinbaseより多いです。

この仮想通貨トップのトラフィックを軸に、CMCは多くの取引所のトラフィックの入り口となっており、新規トラフィックの多くをCMCに依存している零細取引所やコインも少なくありません

また、CMCのユーザーは世界中に存在し、グローバルで強いプレゼンスを持っているのも特徴です(添付画像②)アメリカ、ロシア、ドイツなど西欧圏が中心ですが、日本も含めグローバルで広く利用されています。

BINANCEによるCMC買収の懸念

さて、今回のBinanceによるCMCの買収はちょっと驚きだったと思います。金額は定かではないですが、400億円相当と噂されており、Binanceはかなりの金額をCMCにつぎ込んだのは間違いないでしょう。

ただしこれには色々懸念や批判もあります。

一番大きい批判は、Binance(取引所)がCMCを買収することで、CMCとBinance、またエコシステム内のその他の取引所の間で利益相反が起きてしまい、中立な立場(Independent)でのデータ提供が出来なくなるのでは、というものです。

元々CMCは仮想通貨データプロバイダーのパイオニアではありましたが、取引所の取引高ランキングやその他データの正確性や中立性には以前から疑問も多く、今回のBinanceの買収でこれがさらに決定的になり、CoinGeckoやMessariなどの独立したデータプロバイダーに移動する!と言っているSNS上でのユーザーなども多くみられました。

また、既存金融と比べて仮想通貨の世界は未だに利益相反やガバナンス、中立性がガバガバなのはご存知の通りですが、今回の買収は証券会社とレーティング会社が合体するようなもので、そういう視点から見てもナンバー1の取引所とナンバー1のデータプロバイダーが合体するのには不安もあります。当然データリテラシーが高いユーザーにとっては問題ないですが、大部分の新規ユーザーはCMCを通して仮想通貨エコシステムに参入することが多く、その入り口のデータが操作されていたとすると顧客保護の観点などからも良くないですよね。

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