2024年3月1日 7 min read

Taprootの正統派な活用でPhoenix Walletの流動性追加がより安価に

Taprootの正統派な活用でPhoenix Walletの流動性追加がより安価に
Photo by Blake Weyland / Unsplash

2021年の暮れにTaprootがアクティベーションされたとき、期待されていたのはより複雑なスクリプトの実行、プライバシーの細かな改善、そしてシュノア署名を活用したマルチシグなどでした。BIPドラフトが提出された2019年当時の記事でも触れています:

Schnorr署名、Taprootが描くビットコインの未来
5月6日、ビットコイン開発者が参加するメーリングリストにPieter Wuille氏からTaprootとSchnorr(シュノア)署名に関するBIP(ビットコイン改善提案)のドラフトが提出されました。ビットコインの開発プロセスにおいて、BIPの提案→採択→導入、という流れの最初のステップが正式に始動した形です。 --Schnorr署名とは-- ビットコインの根底にある暗号化技術における、暗号を署名するアルゴリズムの一つです。これまでビットコインでは世間で広く使われているECDSAという署名アルゴリズムを使っていますが、2008年まで特許で保護されていたシュノア署名のほうがセキュリティ面や効率面で優れているため、導入する機運が高まっています。※セキュリティ面でのメリットは難解なので割愛します。 --Schnorr署名導入のメリット--

ところが今のところ、TaprootやTapscriptが活用されているユースケースの多くは当時の想定とは少し異なるものです。例えばOrdinal InscriptionsやTaproot AssetsなどはBitcoin Scriptを単なるデータ置き場として使います(なんならTaprootなしでも実現しようと思えばできる代物です)。Taprootで導入されたBitcoin Scriptの木構造Taptreeを使って新しい機能を実現しようとするBitVMやArkといったコンセプトも出てきましたが、これらも2023年の頭には存在しなかったか、発明者が構想を練っていた段階でした。

では正統派な改善はどのようなものがなされているでしょうか?今日はPhoenix Walletに最近実装された改善など、今日のTaprootの「普通な」使われ方を見ていきます。

・なぜ未だにTaproot非対応のウォレットがあるのか

・ライトニングにおけるTaproot Channels

・Acinqが発表した「Swaproot」はTaprootを含む複数技術の組み合わせ

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