2020年6月18日 4 min read

ストランデッドガス田とマイニング

ビットコインのマイニングの話をする上で、電力源の検討は外せません。ASICが消費する電力を安く入手するためには、エネルギーの需給が崩れている土地・環境を見つける必要があります。そしてその環境は大規模な設備投資が難しい僻地や、土地の限られた施設内にあることも多いでしょう。

今回の記事は、"Ohmm"というコンテナ型のマイニングファームを製造・販売するUpstream Data社の取り組みと、彼らが有望な電力源の1つとしているストランデッドガス田の収益化が可能か見ていきます。

ストランデッドガス田とは

天然ガスは液体である石油と比べて保管・輸送にコストがかかるため、採算が取れないガス田は多く存在し、推定で地球上の天然ガスの埋蔵量の1/3は「ストランデッドガス田」と呼ばれる、現在の需要では開発が現実的でない場所に埋蔵されていると言われます。

天然ガスの輸送は主にパイプラインか、冷却・加圧する液化プラントと液化天然ガス専用のタンカーの組み合わせで行われており、採算を取るにあたって「消費地からの距離」が非常に大きな要素となります。例えば近距離であればパイプラインにつないで直接発電所などに送ることができ、日本国内にも述べ数百キロの天然ガスパイプラインが存在します。

ストランデッドガス田の収益化を目指す既存のソリューションの1つは、GTLプラントという天然ガス用の製油所のような施設をガス田に建設し、天然ガスを原料とする燃油等を生産して消費地へ輸送することで、天然ガス輸送用のインフラ整備を最低限に留めることができるというものでした。

しかし、それでもGTLプラント自体への投資が必要であり、消費地への距離が縮まるわけではないので、適用できるガス田は限られています。

以前、研究所のコラムで石油の副産物として通常焼却される天然ガスをマイニングに使う動きがあると説明しましたが、副産物程度の量しか出ない天然ガスのために保管、輸送、もしくは加工インフラを整えるコストの高さがイメージできたでしょうか。しかし一方でこの副産物はコストをかけて処分する必要があります。
ストランデッドガス田は市況の変化などで開発後に閉鎖される場合を除き、単純に採算が取れるまでそもそも採掘されることのない資源です。
OHMMシリーズの詳細と収益化

コンテナ型のマイニングファームを製造する会社はいくつかありますが、一番有名なUpstream Data社のOhmmシリーズというプロダクトを見ていきます。(Ohmm Hash Generatorという中位モデルはYouTubeで実物が見られます)

電力源として、Ohmmには天然ガスを消費する発電機モジュールがオプションとして提供されていることからも、ストランデッドガス田や原油の副産物として燃やされるだけだった天然ガスを利用したマイニング市場がターゲットだということがよくわかります。Upstream Data社長のツイッターにも、そのような環境にOhmmを納品した写真が並んでいます。
実際にウェブサイトを見ると、「Ohmmを使うことで、収益を生まないのに設備投資を必要とする厄介な天然ガスを処理できる上に、収益化できる」ことを売りにしています。

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