先日東京で開催されたBitcoin Tokyo 2024カンファレンスにも来場していたLuke DashjrをはじめとするマイニングプールOceanが、マイニングの分散性を守るためとしてStratum V2とは異なる次世代マイニングプールプロトコル「DATUM(Decentralized Alternative Templates for Universal Mining)」を発表しました。
本稿では以前にもStratum V2を紹介しています。知識をリフレッシュされたい方はぜひ以下の記事をご覧ください。またOceanについてもマイニングカテゴリ内の記事で度々触れております。
Stratum V2は本当にマイニングプールの検閲耐性を改善するのか?
マイニングの話題になると、少なくともここ数年は規制や検閲という部分に関する関心が高まっている実感があります。マイナーがマイニングプールに接続する現状ではプール側が検閲を行えるのではないか、いくつかの大手マイニングプールが検閲を行うと実質的にネットワーク全体が検閲をしているのと同じ状況にならないか、といった疑問です。 ビットコインの検閲耐性はマイニングプール間、マイナー間の競争によってこれまで守られてきました。経済合理性を欠く検閲行為は検閲をしないマイナーへの報酬増加に繋がり、マイナーは検閲を行わないプールへと移動することが予想できます。これ自体はかなり強力な理屈で、ビットコインにおけるProof of Workのイノベーションの1つです。 他方、マイニングプールが大きな影響力を持っていることを認識し、その影響力の根源であるブロックテンプレートの作成を個別のマイナーも行えるようにしようという発想もあります。時折話題に上がるStratum V2プロトコルにそのような機能が盛り込まれています。 果たしてStratum V2プロトコルはマイニングプールの影響力を押さえることができるのか、
さて、元々はStratum V2を使うとしていたOceanでしたが、なぜDATUMという独自のプロトコルを作る方向に舵を切ったのでしょうか?DATUMの中身をStratum V2と比較して、彼らの思想を炙り出してみます。
・OceanはなぜStratum V2を諦めたのか?
・DATUMはいわば「リデザインされたStratum V2」
・大半のマイナーは即座にDATUM・Oceanを選ばないだろうが…