Ordinal Inscriptionsの流行でビットコインにデータを保存できることを知った開発者たちがNFT以外の様々なユースケースを考案しています。中でも話題となっているのがSovereign Rollupという「ビットコイン上でEVMを動かすロールアップ」です。
ところが、これをロールアップと読んで良いのか問題が一部で話題になっています。今日はこれについて説明します。
ロールアップと異なる理由
一般的にロールアップはイーサリアム上のスケーリングソリューションの1つで、スマートコントラクト経由で入出金し、オフチェーンでトランザクションを実行できるサイドチェーンのようなものです。サイドチェーンと異なる特徴として、オフチェーンで実行したトランザクションのデータや実行の証明をオンチェーンに書き込むことで運営者の不正を防止したり告発できること、手数料さえ払えば運営者の協力なしに出金できることなどが挙げられます。
ロールアップについては過去にも自分や大石さんが投稿しています:
ただし現時点でこれらの理想がすべて実現しているものはほぼ存在せず、基本的にどこかに運営者による盗難・凍結のリスクが存在します。例えばコントラクトの内容を変更できる管理者鍵の存在、オンチェーンのスマートコントラクトで検証をしていない、検証に必要なデータを運営者から取得しないといけないなどです。これらのリスクはL2Beatというサイトに比較表でまとめられています:
さて、これを踏まえてなぜSovereign Rollupがロールアップと異なるかを説明するために、Sovereign Rollupの中身をサクッと説明します。