みなさんはニモニック(バックアップの24単語)の保管をどうしていますか。
暗号資産の仕組みって、ニモニックさえ保管しておけば取り付け騒ぎ的なものから解放されるという意味で画期的ですよね。これこそFintechです。
でも、管理は自己責任。
高品質なケアが約束されているここ日本社会ではちょっと未知の領域です。
そんなこともあり他の人のプラクティスって気になりますよね。
研究所では練木さんが自己管理のプラクティスを紹介しています。是非、ご参考にどうぞ。
ビットコインの自己管理という終わりのない修行 ①②③



上記コラムでも触れていますが、一般的に保管形態として利用されるのは紙です。
古代エジプトのパピルス紙から大活躍の人類の英知がつまった保管方法ですね。
ただ、火災、水害に弱いなど欠点もあります。
これへの対策を考えると金属板に単語を刻んじゃうのがいいじゃん、という発想に行き着きます。
Netflixで最近始まったスプリガンでも、超古代文明の何者かが大事なメッセージを金属製プレートに刻んでいます。

https://www.youtube.com/watch?v=qVKsz7cTTgw
金属製はやはり正義!
が、個人で実践するにはちょっと?ハードルが高いですね。
そこで暗号資産全盛な昨今では、ニモニック保管に特化することで一般個人でもなんとか金属保管を実現することを目指すプロダクトが作られています。
例えばCryptosteel Capsuleなんかもそんなものの一つです。
【2021/12/15】Cryptosteel Capsuleの紹介

Geek属性ビットコイナーとしてはめっちゃ気になりますよね。
でも、実際の所の耐久性、耐火性、耐水性といったものはどうなんでしょう。
熱波の激しい昨今です。いきなり溶けた、変形したとかいやですよね。
こんな素直な疑問に答えようとJameson Loppさんが大規模に尋常じゃない検証を行い、保存媒体として何が最強かを見繕ってくれました。
https://twitter.com/lopp/status/1560219819391205376
今回は彼の試みを紹介しようと思います。
トップ画像は彼のツイートから拝借した写真です。なんかやばそうですね笑
保管媒体に適する属性
Jamesonは下記の点が保存媒体には大事だと主張しています。
- ステンレスかチタン製であること
- 小さいこと
- 1つの頑丈な固体であること
- 情報がしっかり守られること
- ちゃんと復号できる(元のニモニックに戻せる)こと
何故かというと、
- 高融点、高耐食性、高張力、高高度を実現する素材はこれだけだから
- 小さければ変化に強いから。KISS (Keep it Simple, Stupid)!
- 板二枚で挟むなどしてもどうせ物理的に持っていかれれば大差ない。その割に余計な損失の可能性が増えるだけ。そういった意味で沢山のシンボルタイルでフレーズを構成するのもよくない。
といった理由とのこと。
そして、経験上薦められるのは、
- Electrolysis方式
- center punch方式
の2点だそうです。
Electrolysisというのは通電性のある金属に電解マーキングする方式のことですね。写真のような代物です。まるでスプリガン。

center punchというのは穴を開ける方式のことを指しているようです。
なぜニモニックが優れているか
書き込み媒体として何が優れているかJamesonの主張を追いかけてみました。では実際に書き込むデータとしてただの英単語24個が利用されているのはなぜでしょう。
暗号資産の世界では秘密鍵を生成する元の情報は010010111...といった二進数で256桁のデータです。これをシードといっていますが、人間にとっては分かりにくいですよね。メモる際に間違えちゃいそう。
人がメモしやすいようエンコード(変換)し英単語24個にしたものがニモニックです。この過程でチェックサムが組み込まれており、1,2個文字程度の間違いに対して間違っているよ!と気づけるようにしてる点がニモニックの優れているところです。
さて、Jamesonはこうしたニモニックのメリットについてさらっと触れる形で締めていますが、個人的にはもう一歩踏み込む方式にできなかったのかな、と思うところもあります。
- 現状の方式だと、書き取りミスがあったとしても24単語のうちどれにミスがあったかが分からない
- どうせならその間違っている箇所を指摘し、かつ修正までしてくれたらいいのに
こうしたデジタルデータのエンコードは長年研究されてきており枯れた技術です。
そのため、上記の不満点を解消する方法はすでに実用化されていたりもします。
例えばCD。盤面に結構傷が付いていてもしっかり読み込めて再生できちゃいますよね。これが実現できている裏には、読み取りミスに気づける+間違いを元に戻す機能まで搭載されているからです。
現状のBIP32, BIP39といった規格によるウォレットではその他にも、
- P2PKH, P2SH, Segwitといったアドレスの種類に関する情報が保存されていない
- マルチシグにしたときに、全体の構成に関する情報が保存されていない
といった問題もあったりして、"バックアップ"方式、というには能力不足感がでてきている昨今です。
現状に見合った規格を策定し導入を推進するタイミングかもしれませんね。
比較結果
Jamesonの検証の集大成が別途まとめられていましたので、最後にこちらを紹介して締めようと思います。
https://jlopp.github.io/metal-bitcoin-storage-reviews/
70種類の製品を検証したとのことですが、そのうち49種類について、品質、耐熱性、腐食性、耐衝撃性、価格を軸に評価されています。
また、それぞれについて炙ってみたりした様子が写真付きで紹介されています。
是非ご覧になってみてください。楽しいですよ。
