2021年10月8日 7 min read

ビットコインの自己管理という終わりのない修行 ③

ビットコインの自己管理という終わりのない修行 ③
Photo by Parker Byrd / Unsplash

本コラムは2021/10/01付の「ビットコインの自己管理という終わりのない修行 ②」の続きです。

今回は苦労して構築したDIYマルチシグにトラブル続発で疲弊し、現在の管理法である3-of-5マルチシグによるジョイントカストディにたどり着くまでを振り返り、ジョイントカストディサービスとはどのようなものかをご紹介する本テーマ最終編です。

注)以下、私の管理方法をお勧めするものではありません。今利用可能なツールの紹介、自分に合った管理方法の見つけ方の参考情報としてご活用いただければ幸いです。

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DIY2-of-3マルチシグを試用すること数ヶ月、もう少しビットコインを入れてみようかと考えていた矢先にトラブルが発生します。ノードがダウンしてマルチシグをコーディネートするアプリ Specter にアクセスできなくなってしまいました。

ノードを立てるには複数の方法がありますが、技術素養が乏しい場合、ラズパイにUmbrelやRaspiBlitzなどをインストールするのが一番手軽です。私もmyNodeという商品を利用しました。myNodeには有料版と無料版があり、有料版は99ドルですが、ソフトウェア更新を1クリックで行え、メールでのサポートも受けられる他、ビットコインコアやLNDの他に多様なアプリが用意されていて、必要に応じてカスタムインストールでき、Specterも1クリックで利用可能です。(この頃、話題になり始めた Umbrel は無料なのにアフターサポート以外は myNode 有料版と遜色ないということで、その後一気に市場シェアを拡大しました。)

私は有料版を購入したのでサポートを受けられましたが、それでも原因特定と解決までに1ヶ月を要し、その間、少額といえどもSpecterで管理するビットコインのことが心配でなりませんでした。

無事ノードが復旧し、ほっとしたのも束の間、今度はマルチシグウォレットの署名機として使っている2台のハードウェアウォレットの1台、Cobo Vault がディスコンという事態に遭遇します。

今年6月、Cobo Vault 製造販売会社経営陣の間で事業方針に齟齬が生じて会社が分裂することになり、現商品の販売即時停止と3ヶ月後のサポート終了が唐突に発表されました(前職ソニーで商品ディスコンでも2年間のサポートは当然と考えていたので、こんなにカジュアルにディスコンする企業があると知って驚きました)。
ハードウェアウォレット部門は、会社を去る CEO が新会社で引き継ぐこと、新会社で Cobo Vault のクローンのようなハードウェアウォレットを Keystone とリブランディングして販売することも併せて発表されました。Cobo Vault ユーザーは今ならKeystoneウォレットが半額というプロモーションのお知らせが届きましたが、半年前に99ドルで購入したばかりのウォレットのクローンに更に50ドルも支払う気にはとてもなりません。「納得がいかない。そもそも Cobo Vault のファームウェアはオープンソースなんだから、それをメンテ、更新すれば良いのでは?」と抗議すると、「ファーム更新には特別な鍵が必要だが、その鍵は元の会社の管理下にあり、新会社はアクセス権がない。」と言われました。モヤモヤしつつも、今後は事業存続リスクが高いスタートアップのハードウェアウォレットは買わないと心に決めて諦めました。(3ヶ月後の9月、購入1年未満のウォレットについては全額返金すると突然の方針転換が発表されました。現在返金手続き中ですが、返金されても私の方針は変わりません。)

立て続けにトラブルに見舞われ、これは精神的に持たないとの結論に達し、DIYマルチシグへの挑戦はわずか半年で終わりました。

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ステージ4:CASA3-OF-5マルチシグ

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