ライトニングネットワークはビットコインの送金というユースケースが最初であり最も注目されていますが、ライトニングノード上で別のソフトウェア、別のプロトコルを動かすことによってレイヤー3と呼ばれるソリューションや別の機能を実現することもできます。
本日紹介するのは、ライトニングノードが様々な機能を扱えるようにするImprevious APIというプロダクトについて見ていきます。
ライトニングの秘められたポテンシャル
冒頭でも述べましたが、ライトニングには単純な送金以外の用途も模索されています。例えばメッセージをやり取りしたり、データ配信に利用するプロジェクトもありますし(sphinx.chatなど)、それ以外にも将来的にはDLCのような仕組みを使ったP2Pの金融サービス提供なども考えられます。
このとき、すべての通信がライトニング上で完結するとは限りません。確かにSphinx.chatなどは完全にライトニング上で通信しようというコンセプトですが、そもそもLNを使うにはノードIDもしくはインボイスなどをライトニング外で、別の経路で伝達する必要があります。
同じように、例えばデータのマーケットプレイスやDEXの板のようなものはウェブサイト等にまとめられており、ユーザーはそこから個別のノードにコンタクトしていくという形が短期・中期的には馴染みがあって使いやすい形なのではないかと思います。(このような中央集権化は効率化につながるため、よほどの圧力がかからない限りなくならないでしょう)
送金以外の機能を提供しようと思うライトニングノードは、ライトニングノード以外のソフトウェアを何かしら常駐させることでその機能を提供することになります。こうしてライトニングの秘められたポテンシャルを解き放つソフトウェアの1つが、Impervious APIというわけです。
IMPERVIOUS APIというソリューション
Impervious APIはライトニングノードに常駐し、APIの機能を提供することでライトニングノードを様々な用途に使いやすくします。
具体的に、Impervious APIが常駐しているノードが使える機能は:
・Wireguard VPNの作成と共有
・UDPソケット通信 (動画や音声のストリーミングなど)
・WebSocket接続によるメッセージの出力
・フェデレーション機能 (※まだ使えない)
・署名、メッセージ送受信、送金 (※元からライトニングノードでできる)
これらの機能のうち、選択したものを有効化して利用できます。
例えば、ライトニング払いで一定時間のVPN利用権を購入し、販売したノードはVPNを提供しながら10分毎にWebsocket経由で残り時間を知らせるメッセージを送る、というような用途が簡単に実現できそうです。
フェデレーション機能は現時点ではほぼ実装されていませんが、将来的にはいくつかのノードが共同で何らかの作業をしやすくなります。単純なマルチシグを行ったり、チャネルファクトリーを運営するなどできるようになるかもしれません。