この頃ビットコイン開発者の間ではドライブチェーンと呼ばれる技術の話題が(悪い意味で?)盛り上がっています。というのも、昔からドライブチェーン推しだった人たちが急に「ドライブチェーンを使えるようにするソフトフォークをしよう!」とSNSで積極的に主張しだしたためです。
これに対して技術的な中身をあまり把握せずに反論してボロが出てしまう開発者がいたり、支持者も反対者も不誠実なレトリックを応酬したりと泥沼化しています。ビットコインにおいて大きな変更を積極的に押し出していくのは反発を招きやすく、Jeremy Rubin氏のOP_CTVなども似たような議論が巻き起こり結局実現しませんでした。(その後、技術的には悪くないと評価されている印象があります。)
ドライブチェーンという技術自体はまたの機会に説明するとして、多くの開発者が懸念点として挙げるのはMEV (Miner Extractable Value)の機会が誕生することでマイニングの競争原理に影響するのではないかという点です。MEVとはイーサリアム界隈ではDefiの流行が始まった数年前から聞くようになった単語ですが、ビットコインにも実は関係する話題です。今日はビットコイン上のMEVについて考えてみましょう。
概要
・マイナーはブロックに入れるトランザクションとその順番を決定できるため、この権限を利用してフロントランニングや妨害を行って追加の収益を得ることがあり、これをMEVと呼ぶ。
・取引内容が筒抜けのDEX利用が盛んなイーサリアムと異なり、ビットコインで抽出できるMEVは限られるが実例がある。
・今後ビットコインにおけるMEVが拡大するかどうかはMEVが可能なプロトコルが普及してしまうかにかかっている。