本稿でも何度か取り上げているように、世界ではエネルギー系企業においてビットコインマイニングの導入が盛んになってきました。代表的なものとして、石油を採掘する過程で産出するフレアガスを発電に利用してマイニングするケースや、発電所にASICを配置することで電力供給量を簡単に調整するケースなどがあります。共通点は余剰エネルギーの収益化です。
マイナーがやっていることも、発電側ではなく消費側で行われる点を除いて同一であるといえます。そこで気になったのが、マイニングではない事業を行っている工場において電気契約上の「余剰電力」があった場合、それを使ってマイニングを行って収益を期待できるのかです。
今日は工場が余った産業用電力でマイニングができそうか試算してみましょう。
マイナーの電気契約
マイナーは多くの場合、週7日24時間安定して電気を使うので電力会社からすると扱いが簡単な顧客です。電力供給側に必要なインフラ等の見通しが立てやすいことや、季節的な電力余剰の消費などが期待できることからマイナーは割引された電気料金で契約していることが多いです。
また最近では、需要逼迫時に電気会社側からの節電要求に応じる代わりに割引料金を提示されている場合もあり、実際にマイニングの中心地の1つであるアメリカ・テキサス州では現在熱波により電力の需要が増大しているところ、多くのマイニングファームが一部もしくは全部の機材を停止しているそうです。
マイナーの継続的な支出で最も大きい部分を占めるのは電気料金なので、マイナーの競争力はいかに有利な電気契約ができるかにかかっていると言っても過言ではありません。
昔から一般的には1kWhあたり$0.03以下が持続的にマイニングが可能な1つの目安となっています。電気代が極端に安い地域では安く入手できる古い機材、電気代が高い地域では最新機種、といった戦略の違いもあります。詳しくはビットコイン研究所内で過去にマイニング関連の記事がたくさんありますので、そちらをご検索ください。
業務用電力の契約
さて、今日の本題は工場が契約したが使っていない余剰電力で副業的にマイニングをすることはできるのかです。普通の工場などが契約する高圧電力はどのような契約になっているのか、東電の例で見てみます。