2022年3月17日 3 min read

LN上でDLCに似た取引を実現する新たな方法

LN上でDLCに似た取引を実現する新たな方法
Photo by Austin Distel / Unsplash

以前からこのコラムでも、ビットコインでオラクルを利用したスマートコントラクト機能を実現するDLCという手法に注目しています。DLCは全然わからないという方はぜひ以下の記事をご覧ください。

【2020/4/9】5分でわかるDiscreet Log Contracts https://www.facebook.com/.../bitc.../posts/2851084634987859/

また、DLCがLN上で利用できるようになるにはまだしばらくかかると考えられます。(というか、満期まで中継を行う資金効率が悪いため、DLCを行う相手と直接チャネルを開くのが最適解になると考えています。) そこで、LN上でDLCのような体験を可能にする仕組みとして、"Hodl Contracts"というアイデアも紹介しました。

【2021/12/16】Hodl ContractsでDLCライクな体験を
https://coinkeninfo.com/hodl-contracts/

さて、今週はLN払いで記事を読むブログサイトでおなじみSpotlightの小川さんが、DLCに似た仕組みを使った金融サービス「DLC.soy」をテストネットで公開しました。今日はそれについて見ていこうと思います。

http://testnet.dlc.soy/

DLC、HODL CONTRACTSとの違い

まず、本来のDLCとの違いをまとめてみます。

まず一番重要な違いとして、DLC自体は現時点ではオンチェーンで行うものであり、Hodl ContractsやDLC.soyはライトニング上でDLCのような機能を(すべてのチャネルがDLCに対応する必要なしに)実現するというものです。

DLCではライトニングチャネルのように二者がマルチシグに入金しますが、その前に第三者のオラクルが結果に応じて発表する鍵を使ってアンロックできるように出金のトランザクションも全パターン用意します。これによって予めすべての結果に対応する結末が用意してあるので、二者間ではトラストレスに取引ができることになります。(オラクルへのトラストは必要。) また、オラクルは一方的に結果を公表するだけなので、参加者がいるか、いないのかすらも知りません。

一方でHodl ContractsやDLC.soyはライトニングを使うため、ライトニングで使用可能な機能でDLCを再現するための工夫が求められます。また、ライトニングの制約として長期間資金をロックするのが難しいため、短期的な賭けに限定されるでしょう。(※もし直接チャネルで相手と繋がっていれば、そのチャネル内で普通のDLCをやるのは技術的には可能だと思います。)

Hodl Contractsでは、オラクルもLNで参加します。両者とも掛け金をオラクルに仮送金(オラクルによる決済に必要な秘密情報は賭けの相手が保有)し、結果発表の代わりにオラクルが勝者を選択し、勝者の持つ秘密情報を使って決済できる送金をします。すると勝者の秘密情報がオラクルに渡り、敗者からオラクルへの送金も同時に決済されます。暗号学的に難しい仕組みのない、非常にシンプルな方法なのが特徴です。

しかしこのモデルではオラクルが賭けに絡むため共謀の恐れが大きく、オラクルの過去の発表歴も確認できないため信用に足るかの判断が難しいです。

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