2020年4月29日 5 min read

ビットコインとLightningフルノードサービスの現状と今後生まれるエコシステム考察

ビットコインとLightningフルノードサービスの現状と今後生まれるエコシステム考察
Photo by NOAA / Unsplash

最近仕事の関連もあり、特にビットコインのフルノードの重要性や今後への示唆について考えています。

ビットコイン研究所ではいち早くラズベリーパイを使用して自作ノードの構築方法のチュートリアルなども出していましたし、自分もちょうど1年くらい前にフルノードの重要性について簡単にブログで記事にしたりもしていました。

https://coinandpeace.hatenablog.com/entry/importance-of-fullnode?fbclid=IwAR2F0yam4Ze0Ygr6-AI1uGR0VG7WwW2dRDtMZ38xNQzcPR1JM1Skx32L2XE

端的に言えば、

1. 自分でフルノードを持つことはプライバシー、デジタル主権などを築く上で重要
2. フルノードが今後身近になるソリューションがどんどん出てくるはず


というような話をしていたのですが、結局一年前と比べてその後結局どうなったのか、また上記に加えて自分の中でビットコイン、そしてLightningのノードを建てることの重要性が今後さらに増しそうだという予感があるので、現状のまとめと今後の展望について少し考えを述べます。

現在のフルノードソリューション概観

ビットコインフルノードをより簡単に構築、またフルノードを軸に据えた様々な機能の提供を目指すソリューションやサービスにはハードウェア型とソフトウェア型があります。


ハードウェア

ハードウェア型の強みはモノさえ買ってしまえば比較的誰でも簡単にフルノード環境を構築できることです。「Plug and play」呼ばれるようにとりあえず買って、電源を入れて、インターネットに接続しさえすれば必要なソフトウェアはプリインストールされており、スムーズにフルノードの利用が出来るというコンセプトです。

その他のメリットとして、ビットコインやLightningのノードだけでなく、ElectrumやBTCPayserverなど、フルノードの機能を補完するその他のツールも搭載されていたり、自動でアップデートやサポートも提供していたり、パワーユーザー、玄人にとっても満足できる「機能全部入れ」が出来ることでしょう。

他にもCasa NodeやHTCのブロックチェーンスマホ「Exodus」はノード機能だけでなくハードウェアウォレットとしてのセキュリティ機能も兼ね備えています。
一方、弱点としてはPlug and playとは言っても実際にはある程度の手間や技術力が必要とされる部分もあり、自分で本体ハードウェア以外にもケーブルやSDカードやその他部分を購入して組み立てたり、場合によっては最低限のプログラミング能力が要求されることもあります。
もう一つの問題はコストで、最も有名だったCasaは確か一台350ドルほど、HTCのExodusはスマホ代が300ドル程度に加えて追加でフルノードを保管する300GB以上の大容量SDカードの購入(150ドル程度)が別途必要です。加えて海外からの郵送費用や手間なども考えると初心者やホビーで使いたい人にとっては気軽に手をだせるものではないです。

実際Casaは今年に入ってからハードウェア事業をやめてセキュリティに特化すると発表しており、少なくとも現状の市場規模と価格設定では収益を上げていくのは難しいと判断したのでしょう。HTCのExodusも真偽は定かではないですが、数百台しか売れていないという噂を聞いたこともあります。

自分でもまだ試せてないのですが、Casaの後継者的存在として、最も機能性に優れていてエンスージアストから評価が高そうなのはMynodeです。こちらはフルセットをまとめて購入すると300ドルくらいしますが、100ドルくらいの有償サポート版オンリーの提供や、サポートなどはなしですがソフトウェア部分は全て無償公開しているので興味のある人にはこちらをおすすめしておきます。

myNode
Run Bitcoin, Lightning, and more!

ソフトウェア

ソフトウェアベースのフルノードサービスで最も有名なのはBTCPayserverです。BTCPayserverはその名がさす通り元々Bitpayからの乗り換えがしやすいようなAPI互換性を持つOSSの店舗やオンラインショップ向けのペイメントプロセッサーとしてスタートしました。また、その過程でビットコインのライトニングのフルノード構築環境を簡易化したこともあり、LN開発者にも広く使われています。それだけではなく、ハードウェアウォレットとつなげることでプライバシーの向上や、つい先日Payjoinというオンチェーン支払いの匿名性を向上させるミクシング技術の導入も発表しており、ただのペイメントプロセッサーというよりは他の重要なインフラ的機能の提供にも範囲が広がっています

もう一つソフトウェアベースのサービスで特徴的なのはABCoreです。これはAndroid Bitcoin Coreの略で、簡単に言えばAndroidのスマホでフルノード(Pruned node)を動かせるようにしよう、というプロジェクトです。

スマホのストレージ要領は200GB以上のビットコインの過去の全てのブロックデータを保管するのには向かないので、同期が完了した後に過去のデータは一部捨て去ることで必要容量を削減しつつ、最新トランザクションは自分できちんと検証してプライバシーの漏洩や第三者への依存を最小化出来ます。ABCoreはまだ広く使われてはいないですが、去年NayutaがABCoreをベースにビットコインとLightningのノードを建てられるウォレットをリリースしています。スマホの慣れたインターフェースで技術的知識がほぼない人でも簡単にノードを建てられるのが強みでしょう。

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