2020年3月11日 6 min read

コロナウイルスと仮想通貨ファンダメンタルズアップデート

コロナウイルスと仮想通貨ファンダメンタルズアップデート
Photo by Nick Fewings / Unsplash

さて、最近は頭がコロナウイルスのことで一杯ですね。自分に直接的に影響を及ぼすこともありますが(移動や仕事のスケジュールなど)、今まで中国やアジアの一部で騒がれていたコロナウイルスのリスクがヨーロッパやアメリカにも急速にパニックとして広がっています。ビットコインや仮想通貨、ブロックチェーン業界でも最近はこの話題ですっかり持ちきりということで、コロナウイルスの仮想通貨業界や市場全体へのファンダメンタルズ的な要因についてわかっていることや仮説、アップデートを共有します。

仮想通貨インフルエンサーのいう事を鵜呑みにしない

ビットコインや仮想通貨界隈でもコロナウイルスに関して積極的に考察、発信している人たちもいます。ただし、当然ですがビットコインの話はともかく、それらの人たちが疫学の専門化や知見を持っているわけでもなく、ビットコインに関しての知識はすごいとしても、素人の自分から見てもちょっとトンデモなことを言っている人も海外などでも少なくない印象です。

なのでコロナウイルスの件がどのように解決されていくか、どのように対処すべきか、などは自分も含めあまり参考にしすぎない方がいい気がします。

一方、コロナウイルスがビットコインやクリプトやブロックチェーン市場全体に界隈にどんな影響を与えうるか、という点で参考になりそうな意見をいくつか紹介します。

今回の危機はリーマンとは文脈が違う

まず「コロナショック」と言えるような株式相場の急激な下落がここ数日起きていますが、これはリーマンショックのような流動性の枯渇や金融市場の崩壊とは性質が違うものですよくビットコインはリーマンショックのような「金融危機や過剰な信用創造の失敗へのアンチテーゼ」とか言われることもあり、金融危機やそれによる法定通貨の価値の棄損などは(本当かどうかはさておき)ビットコインには追い風、と考えられることが多いです。ただし、今回はそもそもの実経済の機能のシャットダウンによる経済的ダメージ、なので、ビットコインの主題にはマッチせず、株式やビットコインなど含め全体的にネガティブに作用しているようです。
なお、ここら辺の話は仮想通貨の税務サービスなどを提供するCryptactの斉藤さんなどが記事で解説してくれているのでお勧めです。

今後くる(?)コロナ不況とリーマンショックの違い|Saito Gaku|note
今後くる可能性のあるコロナ不況とリーマンショックは全く違うタイプの不況です。一般的にはその違いが分かりにくいので、説明したいと思います。 景気というのは、①生産性と②レバレッジ(信用/借入)の増減で決まります。つまり不況になるとは、生産性の低下や低成長とレバレッジの減退を意味します。 中長期では生産性の要素が大きくなる一方、信用創造の高度に発達した国では、短期的には(場合によっては中長期でも)レバレッジの減退による影響が圧倒的に大きいです。 今回のコロナ騒動、珍しく①が全てです。厳密には生産性が徐々に低下してきたのではなく、そもそもわざと停止させたことで生じています。 生産性の

とはいえ、経済のシャットダウンや自粛行動が続くとそれがいつ金融危機を誘発するかわからない、という見方も当然あり、予断を許さない状況ではありますね。

中央銀行のコロナウイルスへの反応と、ビットコインの楽観的なナラティブ

同時にビットコインのファンダメンタルズのナラティブに追い風とみなせる要因もあります。

コロナウイルスの経済への影響に対応する形で、中央銀行による金利の引き下げや追加の金融緩和(日銀のETF買い増し計画)などが議論されています。これは短期的に経済を支える為、未来にダメージを分散させる目的で仕方ない気もしますが、このような中央銀行による恣意的な市場介入や追加緩和などは、法定通貨の放漫な発行へのアンチテーゼとしてのビットコインにとってはプラス要因と捉えられます。

実際、株式や原油市場の急激な下落に対して、ビットコインは今回むしろかなり踏ん張っていたりして(それでも2週間で17.5%減ではありますが…)、安全資産とみなされるゴールドの価格が上がっていることなどからも、経済活動停止の全体的なマイナス要因と、法定通貨の価値棄損や中央銀行の失策へのヘッジとしてのポジティブ要因、が若干相殺し合っている状態と言えるかもしれません。

半減期相場の停滞の懸念

半減期直前の相場としては、コロナウイルスの影響を受け、想定していたより全く奮わない状況です。これは個人としても若干想定外ですし、正直懸念もあります。

過去の半減期では半減期前に急速にコイン価格が上昇し、半減期後もマイナーの収益性も保たれ、ハッシュレートも踏みとどまっていたのですが、今のところビットコインの価格は軟調で今回はそのパターンが崩れる現実的な可能性が出てきました。

一方、今のところハッシュレートはまだ比較的堅調に伸びており、これは中国のマイナー勢にまだ底力が残っていること、一時期コロナウイルスのマイニング産業への影響などの懸念などもありましたが特に問題はなかったことが伺えます。※添付画像①

また、中国はコロナウイルスの封じ込めでか都市の丸ごと閉鎖などかなりの力技を使いましたが、少しづつ経済活動が通常運転に戻りつつあるように見えます。ビットコインの相場もマイニングもまだなんだかんだ中国の動向に影響を及ぼされる部分も多く、中国が復活してくれればビットコインや仮想通貨全般もまた勢いが戻ってきてくれる可能性はあります。これは悪くない要因ですね。

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