2020年5月13日 4 min read

Ethereum DeFiとLightningの利用度の比較

Ethereum DeFiとLightningの利用度の比較
Photo by NOAA / Unsplash

最近あまりLightningを細かく追ってない業界関係者から、Lightningって盛り上がっているの?と素朴な疑問をぶつけられることがあります。また、それと若干関係して「EthereumのDeFiは盛り上がっているが、Lightningは停滞している」というような言説を聞くこともあるのですが、これは本当でしょうか?

おそらく日本にいる人たちは体感的にEthereum上のDeFiの方が盛り上がっていると感じる人が多いんじゃないかと思います。確かに日本国内だとステーブルコインなど含むDeFiは結構SNSなどでも盛り上がってるように感じますし、サービスの数も増えてきており話題になることも多いです(ハックなどの悪いニュースも増えてきてますが)

どちらの方が「盛り上がっているか」という判断材料としてよく引用されるのが、DeFi Pulseのロックアップされている資金の比較ランキングです。(https://defipulse.com/)

これによれば現在Lightningを含む「DeFi」にロックアップされている資金総額はおよそ841億円。そのうち約半分(420億円)がDAIの発行に使われています。一方、Lightningはこのランキングでは10位で、金額は8.5億円です。ロックアップされた資金のシェアで見るとたったの1%くらいなので、確かにこれだけ見るとその他のサービスやプロトコルと比べてしょぼく感じますね。

ただし、そもそもこのロックアップされた金額でそれぞれの利用度や成熟性を判断するのは非常に危ういです。Ethereum型のDeFiの多くも、Lightningも資金をいったんロックアップする、という行為は近い部分はありますが、リスクとリターンの性質が全く違うからです。

イーサリアム型のDeFiの場合、EtherもしくはEthereum上のトークンをロックアップする行為そのものが一種のサービスのような形になっており、ロックアップする金額に応じて金利が得られたり、DaiのようなStablecoinが付与される、というものが多いです。

実需やネットワークの利用度に関わらず、大きな金額をデポジットすればするほど、その分リターン金額も比例して大きくなる形になっています。ただし同時に、ロックアップする行為自体が大きなリスクを伴い、最近何度も起こっているスマートコントラクトのバグをつかれると資金を失う可能性や、Daiの場合などEtherの大きな価格変動があった時に強制的に清算されて資金を失う可能性もあります。

凄く平たく言ってしまえば、大きな金額をロックアップするインセンティブもあるけど、ハイリスクハイリターンな行為なわけです。

一方、Lightningの場合はLightning上に資金をロックアップするのは比較的安全です。基本的にはビットコインのマルチシグコントラクトの応用なので、DeFiのようなコントラクトのハックやその他の外部的要因で預けていたコインが盗られてしまうリスクは低いです。

ただし、Lightningの場合はコインをたくさん預ければそのまま丸々金利を得られるわけではなく、自分のノードがどれくらい他のノードと接続しているのか、どれくらいLightningを採用するサービスが存在し、ペイメントが頻繁に発生しているか、などの実利用度に依存します。

現状はLightningの店舗利用やLappsの数も限られているため、そもそも大きな金額をLightningにロックアップするインセンティブが元々あまり存在せず、(これはLNの中長期の課題の一つでもありますが)イーサリアム型のDeFiと比べてLNのロックアップ金額が低い要因はここにあります。

DeFiは価格変動リスクやスマートコントラクト攻撃リスクを金利に変えているので、実利用が限られても大きな金額を預けるインセンティブは一応存在しますが、LNの場合実需や実際のトランザクション利用がないと金利は得られず、相応の金額がLNに溜まるのにはまだまだ時間がかかるでしょう

ということで、ロックアップされている金額が大きいからもっと使われているとか盛り上がっている、というわけでは必ずしもないので、その他の指標も見てDeFiとLNの利用度などを比較する必要があります。具体的には各サービスのトランザクションやホルダー数、SNSなどでの認知、関連サービスの利用人数、開発アクティビティなどを一部見てみましょう。

これに関してDune Analyticsという会社が有用なデータをまとめており、主要なDaiサービスのユーザー数を推定しています。これは特定のDeFiを利用した固有イーサリアムアドレスをトラックしたものですが、推定としては十分です。

DeFi Usage Numbers
The most popular metric right now for DeFi adoption is total value locked (TVL), shown on trackers like DeFi Pulse. TVL is a good metric…

これによれば主要なDeFiの過去の累計固有ユーザー数は、

DAI:33万 vs CDPホルダー数 約1万5千

Kyber:6万

Uniswap:5万

Compound:3万

くらいです。

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