2022年5月26日 3 min read

ブロックスペースを資源として考えてみると…

最近、こんなツイートを見かけて、とてもいい整理の仕方かもしれないという気づきがありました。https://twitter.com/Mario_Gibney/status/1526361206885388288

「ビットコインの将来的なセキュリティを考える上で、ビットコインネットワークが生産するコモディティは2種類あるということを認識する必要がある。半減期を重ねて2100万枚まで発行されるBTCというアセットと、約10分毎に4MWU (1M vbyte)生産されるブロックスペースだ。※」

BTCの価値にばかり目が行きがちですが、手数料の話にはブロックスペースの価値が密接に関係してきます。トランザクション手数料はブロックスペースの対価として支払うものだからです。したがって、長期的なビットコインの持続可能性を論ずる際はその両方の価値が別々であることを念頭に置く必要があります。

※…ビットコインのブロックサイズは1MBブロックなどと言われますが、2017年のSegwit導入時にトランザクションサイズの計算方法が複雑化し"4MWU" (WU = weight units)ブロックとなりました。署名データは1byte = 1WU、それ以外のデータは1byte = 4WUで計算されます。したがって実際には1.8~1.9MB程度のブロックも珍しくありません。
また、ブロックスペースやトランザクションサイズの表現としてよく使われる1vbyte = 4WUです。

ブロックスペースの価値

現在、マイナーは1ブロック採掘するたびに6.25 BTCの新規発行分と、ブロック内のトランザクション手数料の合計を受け取ることができます。
マイナーは新規発行のトランザクション(コインベーストランザクション)以外には空っぽのブロックでも新規発行分のBTCを得ることができますが、トランザクション手数料はまさにブロックスペースの対価です。

このブロックスペース、生産ペースは約10分間に4MWUと決まっており、非常に非弾力的なものです。需要の大小に関わらず生産されるため、価格のボラティリティが大きくなってしまいます。

近年のビットコインは多くの時間は1 sat/vbyteという最低限の手数料率でもすぐにトランザクションが取り込まれる状態になっており、その状況下のブロックスペースの価値は1 sat/vbyte以下ということになります。

ブロックスペースにはトランザクションしか含めることができず、また使われなかったブロックスペースを保管して後に使うこともできないため、約10分に1度のオークションで値付けされ、購入した瞬間に消費される財だと考えられそうです。

持続可能性と手数料

ビットコインは誰もプロトコル変更を容易に通すことができないことが強みですが、よく挙げられる将来的な懸念点に「BTCの新規発行が非常に少なくなった頃に、トランザクション手数料だけで安定した送金が行えるのか」という問題があります。

これを今回のテーマを使って言い換えると「ブロックスペースの需要だけでブロックチェーンの安定に十分なハッシュレートが得られるのか?」になります。すなわち、ブロックスペースの対価が足りるのか問題です。特にオンチェーンで様々な取引が行われトランザクションの効用が大きい(「今すぐなら儲かる・儲かりうる」トランザクションがあるので手数料が高騰しやすい)イーサリアム界隈から出てきがちな指摘です。

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