ビットコイン価格の急落で、再担保リスク、カウンターパーティリスク、カストディアンリスクなどが次々と顕在化し、流動性危機でレンディング事業者やクリプトヘッジファンド周辺はてんやわんやですが、ビットコインを自己管理するhodlerにとっては、待ちに待った買い増しチャンス。しばらく安値継続してほしいと願っている人も多いのでは?
久々の投稿ですが、市況もこんなですし、大きなニュースもないので、今回は今更ですが、4月にマイアミで開催された世界最大規模のビットコインカンファレンス、Bitcoin2022を振り返ります。
カンファレンスのプレゼンはYouTube https://youtu.be/l6YZrCyhmIA で視聴できる他、私も現地の様子をTwitterでライブ発信したので(Twitterで “from:terukoneriki #Bitcoin2022” で検索可)、本記事では、プレイベントも含めた怒涛の1週間で私が経験したことから、特に強く印象に残った2点について書きます。業界ゴシップ程度に軽く捉えてください。
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①ビットコイナー女子の憂鬱
ビットコインネットワークに参加するノードが実行するソフトウェアの大半は、Bitcoin Coreと呼ばれるものです。Bitcoin Coreの改善や保守は有志の開発者たち、いわゆる開発者コミュニティが担っています。
Bitcoin Coreの開発現場や改善プロセスについての詳細は以下をご参照ください。
- Bitcoin Core のプロジェクトマネージャーは誰?
https://lostinbitcoin.jp/how-to/who_controls_bitcoin_core/ - ビットコインの開発プロセスにおける「BIP」とは何か?
https://lostinbitcoin.jp/how-to/what_is_bip/ - ビットコインのルール変更は最終的に誰がどのように決めているのか?
https://lostinbitcoin.jp/how-to/how_bip_gets_activated/
先週、その開発者コミュニティに、ちょっとした変化がありました。
2011年からBitcoin Coreのメンテナーを務めていたPieter Wuille氏が、7月7日にメンテナーを退きました。GitHubにあるBitcoin Coreのリポジトリでは、trusted-keysから彼のPGP鍵のフィンガープリントを削除するよう要請するWuille氏のプルリクエスト(PR)がマージされ、Twitterでも本人がメンテナー引退宣言をしました。大御所の引退が今後の開発にどう影響するのか心配しましたが、プロジェクトから引退するわけではなく、今後もコーディングやレビューなどは続けるそうです。
https://github.com/bitcoin/bitcoin/pull/25568
https://twitter.com/pwuille/status/1545159642447335424?s=20&t=8d3T1grS8qCz2JnpQvf6OA
Wuille氏の引退前日、Gloria Zhao氏が出したtrusted-keysに自身のPGP鍵のフィンガープリントを加えるPRがマージされ、Bitcoin Coreの6人目のメンテナーになりました。Bitcoin Core史上初の女性メンテナーの誕生です(匿名メンテナーの中に女性がいた可能性はあるので、判明している限りではです)。https://github.com/bitcoin/bitcoin/pull/25524
マイアミ初日のディナーで、私は偶然Zhao氏の隣に座りました。ポッドキャストなどから、学生のノリが残る元気なカリフォルニア女子というイメージを持っていましたが、実に落ち着いた女性でした(そして山崎をロックで飲むなど、お酒に強かった)。彼女がフォーカスするmempoolやプライバシー技術の話は、もちろん私にはほぼ理解不能でしたが、彼女が初めてBitcoin CoreにPRを出した際の話は、非常に興味深いものでした。
Bitcoin Coreには常時数百のPRがあり、それぞれに数個から数十のコメントがついています。数ヶ月前に結構な物議を醸したJeremy Rubin氏によるCovenantsに関する提案でも、コメント数は200ちょっとです。