最近のUmbrelのアップデートでインストール可能なアプリが急速に増えました。その中にKrystal Bullという、DLC (Discreet Log Contract)と呼ばれるスマートコントラクトについて結果を発表するオラクルの役割を果たせるアプリがあり、久しぶりにDLCについて考えていました。
いわゆるブロックチェーン型DefiよりP2P型Defiに興味のある自分としてはDLCが活用されるようになっていくことに期待しています。
DLCがわからない方は2020年春に書かせていただいた「5分でわかるDiscreet Log Contracts」をご覧ください。
https://www.facebook.com/.../bitco.../posts/2851084634987859
UMBREL APP STOREにKRYSTAL BULLが追加
簡単にノードを管理し、関連アプリをインストールできることでおなじみのUmbrel App Storeに最近、ビットコインCFDを提供するLNMarketsのアプリや直感的にウェブやIoTのプログラミングができるNode-REDなど、面白いアプリがいくつか追加されました。その中で特に自分の目を引いたのは、Krystal Bullというアプリです。
Krystal BullはDLCのオラクルになることができるアプリで、様々な事象について結果を配信することができます。例えばサッカーの代表戦で勝ったチームを報告したり、期日の大まかなビットコイン価格を報告できます。DLCの参加者はこの結果をもとにプールした資金を分配します。
通常のユーザーがUmbrelでオラクルをしても、そのオラクルが利用される可能性は非常に低いでしょう。そのオラクルが実際に期日まで生きていることや、正確なデータを配信すること、取引相手と結託しないことをトラストする必要があるからです。
したがってオラクルの役割は基本的にはDLCの参加者の双方にトラストされる取引所やデータ提供事業者が果たすと私は考えていますが、好きな期日に好きなデータを配信できるオラクルを簡単に立ち上げられるKrystal Bullは開発者ツールとしてや個人的な遊び、短期的な賭けなどに使うのにはピッタリですね。オラクルが実は賭けの相手のノードではないことを確認した上でですが。(笑)
SUREDBITSがCONTRACT TEMPLATESを公開
DLCのハードルは他にもあります。その1つはコントラクトごとに賭ける対象や期日が異なるため、コントラクト自体も異なる点です。賭けの相手がプロの事業者ならともかく、一般的なユーザー同士がP2Pで取引をする上でコントラクトを安全に生成することは非常に重要です。
DLCの開発に大きく貢献しているSuredbitsという会社があります。Suredbitsはウェブサイトに様々なオラクルの配信結果を掲載したり( https://oracle.suredbits.com/ )、開発者に便利なツールを公開しています。その中に2種類に分けられた多数のコントラクトのテンプレートがあります。
DLCによるコントラクトには結果が階級値になるものと結果が数値になるものがあります。それぞれの種類に対してサイト上で様々なコントラクト例が公開されており、数値型のコントラクトに関しては簡易的な損益曲線のようなものまで見ることができます。公開されているコントラクト自体も、ライトな開発経験さえあれば誰にでもコピペ+編集ができそうです。
DLCを試す開発者にとっても嬉しい機能ですが、ひょっとするとユーザーもこのようにコントラクトをコピペしたり、テンプレートをもとに自動生成するのが一般的になっていくのかもしれません。
結果が階級のコントラクト例一覧:https://oracle.suredbits.com/contract/enum
結果が数値のコントラクト例一覧:https://oracle.suredbits.com/contract/numeric
ATOMIC.FINANCEへの期待
DLCを用いたサービスを既に提供している事業者にAtomic.financeというものがあります。確か去年の今頃はインフルエンサー相手にDLCで大統領選の結果に賭けられるサービスをしていましたが、最近はビットコインホルダーがカバードコール戦略を取ってオプションプレミアムを得られるサービスを提供しています。例えば年末・10万ドルのコールオプションを売ることで年利換算で数%の手数料を得ることができます。(その代わり、年末に10万ドルを超えていた場合は超過分のビットコインは相手のものになります。)