連日ウクライナとロシアの間の緊張関係についての報道を目にしますが、これらの国についてクリプトと関係が深い印象のある方も多いかもしれません。普段使っているサービスでロシア・ウクライナ発のものは多くないのに、なぜそのようなイメージが定着しているのか気になりました。
そこで今日はウクライナとロシアになぜクリプト関係のイメージがついているのか調べた結果を共有します。(もしそのようなイメージを持っているのが私だけだったらごめんなさい。)
サイバー犯罪と東欧
仮想通貨以前に、東欧(「鉄のカーテンの向こう側」)にはサイバー犯罪が多い、サイバー犯罪者を匿う、怪しいサーバーが多いという印象が一般的についていると思います。
仮想通貨の世界でいえば2017年にFBIによって差し押さえられたロシアから運営される取引所BTC-eがMt.Goxから流出した資金のロンダリングに関わっていたり、昨年アメリカで起きたColonial Pipelineという石油パイプライン会社に対する大規模なランサムウェア攻撃を仕掛けたグループも東欧を拠点にしているとされるなど、存在感があります。
また2016年の米大統領選や2018年の冬季五輪に対するハッキングを行ったとしてロシア当局が名指しされるなど、国家ぐるみの高度なサイバー攻撃の印象もあります。(中国ほどではないかもしれませんが)
ロシア発のアンチウィルスソフトベンダーであるカスペルスキーのリサーチャー、ヴィタリー・カムリュク氏は2013年に「サイバー犯罪の量で言えば中国、ラテンアメリカ、東欧がリードしているが、品質でいえばおそらくロシアが首位だろう」と述べているように、ハイプロファイルなサイバー攻撃の印象があり、話題になりやすいが故にイメージが定着しているのかもしれません。
旧ソ連は特に理数系教育のレベルが高く、高等教育を受ける市民の割合が高い反面、自国でのエンジニア需要が少なく、また雇われたとしても給与水準が西側先進国と比べて低いという現実があります。そのような環境において、西側諸国に対するサイバー犯罪で逮捕される可能性が著しく低いとなれば才能あるエンジニアがクラッキングに興味を持つのは必然かもしれません。そして実際、ロシアやウクライナでは当局が捜査に消極的であったり、あるいは一部の犯罪組織と政府の密接な関係によって捜査されにくいとも言われます。
以上のことをまとめると、西側諸国の法の手が及びにくい旧ソ連圏は、高度な人材がいるにも関わらず職が少ないことからサイバー犯罪の温床になりやすいという特徴があり、国家ぐるみのハイプロファイルな攻撃が話題になりやすいことと相まってロシア・ウクライナ=サイバー犯罪というイメージにつながっていそうです。
ビットコイン、仮想通貨と東欧
サイバー犯罪とビットコイン、仮想通貨も当然、非常に距離が近いものです。