2020年6月11日 8 min read

世界の金融市場におけるビットコイン上場商品まとめ

世界の金融市場におけるビットコイン上場商品まとめ
Photo by Adeolu Eletu / Unsplash

今月9日、ロンドンを拠点とするETC Groupがドイツ・フランクフルト証券取引所に今月中に上場するとの報道がありました。アメリカでETFが実現しないことばかりが注目されがちですが、既存の金融市場において取引できるビットコイン上場商品はここ数年で急増しました。また、去年からGBTCやSquareにおけるビットコインの購入量が市場に大きな影響を与えているということがデータにも表れています

今日は技術解説ではありませんが、自分がかなり詳しいと自負している、現存する世界の金融市場におけるビットコイン上場商品について見ていきましょう。

米国

アメリカの金融市場におけるビットコイン商品といえば、GBTCとCMEの先物がメインになります。

GBTCは、Grayscaleが提供するビットコイン上場投信で、NasdaqのOTC Markets(旧 PINK)という取引システムに上場しています。当初は1口あたり0.001BTCでしたが、管理手数料が年間2.0%引かれるため現在はおよそ0.00096BTCとなっています。保有する365,000BTCのカストディはCoinbase Custodyが担います。

個人投資家は二次市場で売買するしかありませんが、アメリカの機関投資家や適格投資家は最低$50,000相当以上かつ1年間は売却禁止という条件で直接ビットコイン現物を拠出してGBTCを新しく設定(発行)することができます。

新規に設定しても1年間は売却できず、またOTC市場は空売りが難しいため、GBTCの価格は原資産の価値から上方乖離しやすく、最近ではビットコイン現物より恒常的に10~25%程度高くなっています。2017年にはプレミアムが100%を超えたこともありました。

上記のことから、FidelityなどにGBTCを貸し付けるとある程度の利回りが得られる可能性があります。(Jameson Loppも1月にツイートしてました)
Interactive Brokers証券によると、GBTCのプレミアムが大変大きかった2017年夏にはGBTCの貸出金利は年8.1%で、貸し出されている口数が少ないことから実際に借りることは困難だったそうです。

CME先物は2017年12月に登場して界隈を賑わせた、シカゴ・マーカンタイル取引所における先物商品です。
現物決済でないので、CME先物の存在が現物の需要を減らしているという批判をよく目にしますが、決済時の参照価格が複数の取引所における現物の価格なので、CMEの先物が買われると「先物売り・現物買い」のアービトラージの機会が生まれ、ある程度は現物の需要に貢献しています。

5月に有名な投資家であるPaul Tudor Jonesが「ビットコインは70年代の金」などとして投資する可能性を示したとき、実際はCMEにおけるビットコイン先物を保有する可能性を指していました。CMEにおける流動性は高く、現在の未決済建玉もBitMEXよりやや少なく、Huobiと同程度の5億ドル程度あります。CMEだけでの市場操作は難しいため、価格発見機能に貢献しているとされ、データの信頼性も高いです。また、CME先物を原資産とするオプション取引もあります。

番外編として、ARKWというETFには小さな割合ですがGBTCが組み込まれています。今後も他にGBTCやCME先物が組み込まれたETFが生まれる可能性があります。

また、アメリカに限った話ではありませんが、適格投資家やファミリーオフィス、機関投資家は他にも仮想通貨系のヘッジファンドに投資している場合があり、規模がかなり大きいものもあります。例えば今日の報道で、Three Arrows CapitalというヘッジファンドがGBTCの6.26%、およそ$2.59億ドル相当を保有しているとされました。

ビットコインではありませんが、GBTCと同じくGrayscaleが提供するETHEというイーサリアム上場投信は最近は1000%近いプレミアムがついており、このプレミアムがETH現物の需要を引き起こしているという説が噂されますが、出来高は少ないので市場自体への影響はそれほど大きくないかもしれません。いくら証券口座や退職金口座で買えるとはいえ、10倍の値段(時価総額がビットコインを超える水準)で買うほどのメリットとは到底言えないでしょう。
単位が0.1ETHなので、プレミアムがNAVの10倍近いのは単純に単位が1ETHだと勘違いして買っている個人投資家がいるという可能性があります。
カナダ

The Bitcoin Fund (QBTC.U)は数千万ドル集めたパブリック・オファリングを経て今年4月にトロント証券取引所に上場したクローズドエンド型上場投資信託です。クローズドエンド型というのは、最初に存在する口数しか存在しない(新規に設定されることがない)ということなので、ある意味GBTC以上にプレミアムが収束しにくい仕組みですが、5月以降はGBTCより低い水準に落ち着いています。管理費用は年間で1.95%+1口あたり0.24米ドルです。
また、手数料を払えば原資産価格で払い戻すことができる仕組みになっているので、市場価値に下限があると考えることができます。

カストディはGeminiが担っています。

スイス

スイス証券取引所には、かなりの数の暗号資産ETPが上場しています。21Shares (旧 Amun)とWisdomtreeの2社が運用しています。管理費用が安く、プレミアムが無いのが特徴です。

21Shares Bitcoin ETP (ABTC)は昨年10月に上場しました。1口あたりおよそ0.005BTC、管理費用は年間1.49%で、Coinbase Custodyがカストディを担います。
ただ、おそらくドル建てなのにスイスフラン決済なのが少し使いづらく感じます。(自分が誤解してるようなら教えて下さい。)

Wisdomtree Bitcoin (BTCW)は1口当たりおよそ0.01BTC、管理費用は年間0.95%で、カストディはSwissquote BankがCoinbase Custodyと協力して担います。ABTCよりこっちのほうが出来高があります。

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