本コラムでは、ビットコイン史上に残る重大発表もあった先週のエルサルバドル・ビットコイン週間を振り返ります。
11月15日から20日にかけてエルサルバドルでLABITCONF(Latin American Bitcoin and Blockchain Conference)が開催されました。Bitcoin Iberoamérica Foundationが主催するカンファレンスは、ラテンアメリカ国民がビットコインの利用を通して金融の主権と自由を回復する支援を目的として毎年開催しており、今年ですでに9回目です。
今年の開催地エルサルバドルは期間中をビットコイン週間と定め、Bukele大統領自らスピーカーとして参加するなど国を挙げてイベントを盛り上げ、世界各国から訪れたビットコイン界隈で影響力を持つ法人・個人を歓迎しました。
Bitcoin Beachウォレットを開発するGaloyなど現地のビットコイン関連企業もAdoptiong Bitcoinという独自のLightningカンファレンスを2日間にわたり開催し、30カ国以上から約700人が参加しました。Lightningプロジェクト関係者をアダプション最先端国に集め、LightningのUX面の課題を直接ユーザーから吸い上げるとともに解決に向けてプロジェクトの枠を超えた横断的協力体制の下地を作るという開催目的は達成されたようです。単発イベントの予定でしたが大好評だったため、来年の開催をすでに発表しています。詳細は未定ですが、場所はエルサル以外で検討中とのこと。Lightningアダプションが進むナイジェリアあたりではと希望を込めて勝手に予想しています。
先週はビットコイン週間の現地報告がTwitterのタイムラインを埋め尽くしました。Lightningチャネルを非中央集権的にリバランスする新プロトコルPeerSwapの発表、オフラインで使えるLightning決済POSを作るワークショップ、銀行と規制と巨大テック企業のハックを掲げTether社が新設立したSynonym社が2年近くステルスで開発を進めてきた新プロトコルSlashtagsのお披露目、街に出て手当たり次第にLightninig決済を試してUX評価するエンジニア、参加者たちの楽しそうな交流の様子、Bitcoin Beachでのサーフレッスン、火山トレッキングと綺麗なサンセット写真などに激しいFOMOを覚えたビットコイナーも多かったのでは?
そしてLABITCONF最終日11月20日、エルサルバドル大統領府が主催したフェスのようなド派手なアフターパーティにロックスターの如く登場したBukele大統領からビットコイン史に残る発表がありました。ビットコイン国債の発行です。https://twitter.com/elsalvador/status/1462292188663013379...
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ビットコイン国債については、日本でもクリプトメディアだけでなく日経新聞も報じていますが、ポイントをおさらいしておきます。
- 10億ドル分の10年債を2022年に発行
- クーポンレートは6.5%
- 額面(最低投資単位)は100ドル
- 債券はビットコインのサイドチェーンLiquidネットワーク上でトークンとして発行
- 調達した10億ドルの半分でビットコインを購入、残りで地熱発電施設とビットコインマイニング施設を建設(ちなにに火山の地熱を電源としてマイニングを行うことから債券は英語圏ではVolcano bond=火山債券とも呼ばれています)
- 購入したビットコインは5年間保有後に段階的売却、売却益の半分を特別配当として年1回支払う
- エルサルバドル政府は証券法策定中で、法施行後にBitfinex Securitiesが証券取引所としての認可を受け、幹事会社として債券の引受と販売を行う