明けましておめでとうございます。

昨年のビットコイン価格は仮想通貨業界の不祥事に振り回され大幅下落という一年でしたが、Bitcoin Optechのニュースレターでまとまっているように、ビットコイン開発に関しては様々な話題が出て刺激的な一年でした。

今日は毎年恒例の企画として、去年の予想をさっと答え合わせした後に今年のビットコインと仮想通貨業界についていくつか予想を立ててみます。

去年の答え合わせ

去年の今ごろ、下の記事で2022年について4つの予想を立てました。

去年の振り返りと2022年の予想
あけましておめでとうございます。 2021年のビットコインはエルサルバドルでの法定通貨化や上場企業の相次ぐ購入などが話題になりました。一方で、NFTに期待する一般人や仕手ゲームがお好きなロビンフッダーを巻き込んで久しぶりにアルトコインの大相場といった感じになりました。 年始の予想みたいなのが出きったあとでこういう投稿をすると内容がかぶったりしてバツが悪いのですが、年末からツイッター離れしかけている自分はその情報格差を言い訳にして予想を書いてみたいと思います。 2021年の予想:答え合わせ編 まずは、2021年初にした予想の答え合わせから入ります。 シュノア署名&Taprootがメ…

次のソフトフォークの提案(決定)はなし→△

ソフトフォークでこんなことができる!という提案が多数出てきた一年でした。また、春にはOP_CTV周りでソフトフォークを強行突破するかもしれないという一騒動がありました。予想の内容まで見ると、次のソフトフォークが何になるかのコンセンサスは実際にまだ取れていません。

OP_CTVとソフトフォーク導入方法
先週は寄稿をお休みさせていただいたので前回から間隔が空いてしまいましたが、その間にビットコインの世界は一大論争が巻き起こっています。本稿でも何度か登場している独創的なビットコイン開発者、Jeremy Rubin氏が自身の提案するOP_CTVという機能のソフトフォークによる導入をSpeedy Trial方式で目指すと発表したのです。 ところが同じくSpeedy Trial方式で導入されたTaprootと異なり、まだユーザーやビットコイン開発者の中でOP_CTVに対して広く支持が得られていないこと、Speedy Trial自体がソフトフォークの導入方法として好ましくないことが意見の対立につながっ…

ライトニングを活用したプロダクトが多数誕生→△

ライトニングとDLCを組み合わせる実験が行われるなど、ライトニングと他のL2プロトコルの統合が進んでいます。しかし、2022年にライトニングを使ったプロダクトが多数誕生したと断言するのは大げさでしょう。

また、Mastering the Lightning Networkの日本語版がつい最近発売されたので、ある程度の技術的詳細に興味がある方はぜひチェックしてみてください。とても体系立てて解説されているので、辞典のように使うこともできますし、開発時にも役立ちます。英語版は無料でGitHubで閲覧することもできます。

相場は横ばい→✕

相場は予想したよりも強烈な下落が続く一年でした。現在も余波が続いている信用不安と連鎖倒産に振り回された1年というところでしょうか。

アメリカの交換業者かカストディアンが流出事件を起こす→◎

この予想を書いたときは草コイン価格上昇によって特に盛り上がりが激しい米国のカストディアンがセキュリティリスクを冒してしまう問題を予想していましたが、サイバーセキュリティによる流出ではなくリスク統制の欠如による流出が続く1年でした。Celsius (フロリダ)、Voyager (ニューヨーク)、FTX US (カリフォルニア)など北米ベースの大きなカストディアンが顧客資産を大きく毀損して話題となり、今もGemini/GenesisやDCGが大きな損失を抱えていそうです。CelsiusとVoyagerに関しては顧客がリスクを負うレンディング事業でしたが、特にFTXの件に関しては顧客の意思とは異なる使われ方がされており、その結果これから規制が厳しくなりそうな状況です。

トータルで見れば、2022年は予想したよりも大きな事件と大きな価格の下落に見舞われましたが、ビットコイン開発の視点では期待していたよりも面白い話題が多い一年となりました。記事にするネタに困らないので助かります(笑)

2023年の予想

去年に引き続き、4つの予想を立てたいと思います。