コロナの影響で、ビットコインに対する長期見通しは変わりましたか?という質問を先日うけました。放送の中で答えたのですが、もう少し詳しく、その根拠と見通しについて書いてみます。
i. 消費需要の低下、株価の低迷
ii. 伝統的アセットとの相関性の低いアセットの重要性増加
iii. 暗号通貨の優位性の上昇
というロジックです。
消費と株価のV字回復はない
まず、コロナの影響は、消費需要に大きなダメージを与えています。コロナが一段落ついたあとですら、V字回復を予想するエコノミストが減りました。これは生活様式などが変わってしまうため、以前のような需要がそのまま戻ってくるわけではないということです。多くの人がこれに言及しており、V字回復はないというのはコンセンサスになりつつあります。
つまり、株価は長期低迷する可能性が高いということです。
機関投資家においては、現金をそのまま寝かせておくだけというのはダメなので、なんらかの運用をしないといけません。株が長期でダメとなると、他の手段を取り入れる余地がふえてくるということです。
代替アセットへの見直しがすすむ
そこで大事になるのが、伝統的な株や債券といったものと、相関関係の薄いアセットです。ゴールドがその筆頭です。
ビットコインも相関関係が薄かったわけです。NYダウの暴落局面では、ゴールドとビットコインの両方も、猛烈にうられてしまい、相関関係が薄いという伝説が崩れてしまいましたが、いまになっては持ち直しており、ゴールドは上昇しています。
つまり恐慌の一時的な局面では、あらゆるアセットが売られてしまうのは仕方ないにしろ、そのあとは、やはり相関関係が「薄そうだ」というのは信じられているようにおもいます。今後、投資家のなかには、相関関係の薄いアセットを取り入れるという動機が増してきているわけです。
ビットコインへの需要増
となると、その組入れ候補のアセットはゴールドが筆頭なわけですが、すでにゴールドを組み入れているところも多いため、では仮想通貨はどうかということになる。そうした連想が働く、ということになろうかとおもいます。
このようなロジックにより、長期的なビットコインに対するファンダメンタルの見通しはさほど変わらずです。そして、コロナにより、こうした見立てはより強化されたとも言えるでしょう。
コロナで、ビットコインの位置づけがはっきりした
ただし、前にも一度書きましたが、コロナによってビットコインの位置づけもまた決まったといえましょう。つまりゴールドのような、伝統資産と相関関係の薄い、代替アセットである、という立場がはっきりしました。
逆にいえば機関投資家が、組み入れすぎて、代替アセット以上の比率を持ってしまうと、伝統資産との相関関係がより強まってしまいます。矛盾がおきてしまうのです。ですから、組入れには上限があるでしょう。
多くの投資家に組み入れられるようになるが、ごく一部の比率でとどめる。それが、相関関係を薄くしつつ、広めるには、そうならざる得ません。