本コラムは【2021/11/19】Peter ThielからThomas Jeffersonまでビットコイナー気質を感じさせる偉人たち①の続きです。
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HENRY FORD(1921年)
フォード・モーター創業者で現代の自動車産業の原点とも言える「モデルT」を世に出したFord氏です。ベルトコンベアの導入、部品の標準化、製品の単純化といった手法で大量生産技術を確立すると同時に、生産高に比例して賃金も上昇する生産性インデックス賃金という仕組みを採用します。これにより、購買力の高まりを実感した労働者が労働意欲を高め、生産性がさらに高まる好循環が生まれました。
大量生産によるコスト削減で増えた利益を労働者に還元するというFord氏の決断の裏には、労働者を消費者へと育て消費行動を介して日々の生活や人生への満足度を高めることが平和な社会の実現につながるという信念があったそうです。
国際関係についても、技術の発展と経済の繁栄が植民地主義や植民地主義に基づく貿易を終わらせ、それまで支配する側だけが享受していた恩恵を全人類が享受できるようになると語り、自由意志に基づく公正な国際貿易が世界平和をもたらすと信じていたようです。ビットコイナーですね。
そんなFord氏にとって、第一次世界大戦は壮大な浪費に映りました。そして次第に戦争を可能にした貨幣制度に対する疑念を募らせます。
「国民が貨幣制度に無知なのは幸いだ。もし実態を知れば、明日にも革命が始まるだろう」
(出典:https://www.goodreads.com/.../34770-it-is-well-enough...)
第一次世界大戦の戦費調達のために、金兌換を停止して紙幣を刷りまくり、国民の財産をインフレを介して没収した政府を皮肉った発言です。
そして行動力のある起業家Ford氏としては問題を認識した以上、解決のための行動を起こさずにはいられなかったのでしょう。早速、貨幣についての不満を解消すべく、代替貨幣を提案します。下図はFord氏の提案を報じる1921年12月4日付のNew York Tribune。奇しくも、ちょうど100年前(の明日)のことです。(出典:
https://chroniclingamerica.loc.gov/.../1921.../ed-1/seq-1/)
Ford氏が提案したのはビットコインを想起させるエネルギーを裏付けとする貨幣、その名も「エネルギー貨幣」です。1ドルを1時間あたりの発電コストと定義し、kWhで裏付けるというものです。
「金の致命的欠陥は(政府が)コントロール可能なこと。金を(政府が)コントロール不可能なエネルギー貨幣で置き換えれば戦争はなくなる。」