ライトニングの中継ノードの運営で苦慮するのは適切な手数料設定です。なぜなら、あるチャネルからの収益を最大化させるためには「チャネルの回転率を高める」ことと「中継あたりの手数料率を最大化する」ことが求められるためです。
チャネルには双方向に送金需要がある場合と、専ら一方向に送金需要がある場合があるので、費用を払ってでも残高を「再チャージ」したいような場合もあります。これを一般的にチャネルのリバランスと呼びます。
リバランスにはLNを経由して自分自身のチャネルに送金する方法や、スワップサービスを利用する方法など色々ありますが、その中でも比較的最近生まれた方法に「インバウンド手数料(ディスカウント)」を利用して特定のチャネル経由で中継を受け付けやすくするという戦略があります。
Inbound Routing Feeについては過去記事を参照してください。
LNDのInbound Routing Fee対応が目前に
去年の1月、本稿でライトニングネットワークにおける「Inbound Routing Fee」をめぐる論争について取り上げました: 難ありなInbound Fees実装をLndが強行突破で導入する思惑にライトニング開発者らが反発今週の論争で際立ったのは、ライトニングでInbound Feesを実現する方法をめぐり、明確に最適な提案がいない状況で、ロールアウトや後方互換性の面で懸念が残る実装方法をLndが強行突破で導入しようとしていることと、それに対する反発でした。 今日はどのような実装方法が議論に上がっているのか、それぞれの特徴と欠点、そして論争の内容をまとめました。 Inbound Feesでライトニング上の資金の流れを効率化 ライトニングにおけるルーティングノードは送金を中継する際に自らが中継先に送る金額について手数料を徴収することができます。その一方で、送金元に近いノードから自身が受け取る送金については送金元に近いノードが手数料を設定することになります。 ルーティングノードはチャネルの手数料を設定する際に自身の都合も考慮して設定します。例えば、これ以上残高がリモート側に流れてほし
実際にInbound Routing Feeを設定するとそのチャネルからの中継が発生しやすくはなるのですが、問題なのが「どのチャネルに出ていく中継か選べない」ことです。Inbound Routing Feeがどでかい調節弁として機能しても、細かい結果が望んだとおりになるとは限りません。
そこでInbound Routing Feeと並行して提案されていたPairwise Fee Schedulesというコンセプトならどう解決されていたか、今回はこれについて詳しく見ていきましょう。
・ライトニングの中継は実質的に非代替性の残高のトレーディング
・Pairwise Fee Schedulesは厳密な値付けを可能にする技術
・莫大な組み合わせ数やBOLT対応の必要性が欠点