mempool.spaceというブロックエクスプローラーがライトニング関連の情報を見ることのできるダッシュボードをリリースしました。同じような情報は他のサイトでも見れるところがありますが、データをじっくり見ていくと色々と興味深いことに気づきます。
例えば2021年1月18日に外部からの接続にTorが必要なノード数がクリアネット(IPアドレスで識別される従来のネット)上のノード数を超え、今やクリアネット上のノード数の約5倍に達していること、その一方でキャパシティ(ライトニングチャネルで管理されているBTCの数量)ではクリアネットノードがTorノードに11倍以上の大差をつけていることなどです。
まだ個人レベルではTor経由でのみ接続を受け入れるノードを構築するというトレンドが継続していますが、最近はTorの安定性の問題もあり、改めてクリアネット上でノードを運用するメリットが評価され始めています。今日はクラウドを使ってライトニングノードをクリアネット運用する2つの方法に触れ、mempool.spaceで確認できるデータとの関連性を見ていきます。
LNでのクリアネットとTor
本稿で繰り返し紹介しているので詳細は省きますが、ライトニングノードは大別するとTorで公開されているノードとクリアネットで公開されているノードがあります。ライトニングノードがTorを利用する理由はいくつかあり、自宅のノードを世界に公開する際に煩雑なネットワーク設定を回避するため、ノードの所在を隠すため(IPアドレス等と関連付けないため)などです。
Torでは通信が世界中のTorノードをいくつか経由して行われるため、発信元や宛先を割り出すことが困難であり、プライバシーの保護を実現しています。その一方で、通信が非常に遠回りするためレスポンスが悪く、スピードが重要な通信にもデータサイズが大きい通信にも向きません。もし自分のノードがIPアドレスと紐づいてしまっても問題ないのであれば、クリアネットのほうが高速で使用感が良いでしょう。
ここ数ヶ月、Torの安定性がいつもより一層悪く、通信に必要な時間が伸びており、Torを利用するライトニングノードも影響を受けています。他のノードからの通信がタイムアウトしてしまいオフラインと判断され、送金を受け取れなかったり中継できないなど、特に手数料を受け取って他者の送金を中継するルーティングノードにとっては死活問題なので、クリアネット回帰の動きが強まっています。
クラウドにノードを立てる?
Torを選ぶ理由がプライバシーでないのであれば、いっそノードをクラウドに乗せてしまうというやや安直な選択肢が魅力的に見えてきます。