最近、Coinbaseがほぼ全世界でライトニングを利用した入出金に対応するなど、ライトニングネットワークが少しずつ身近になってきています。何年も前から期待されていたことですが、ついに実現してきている格好です。
これだけ時間がかかった原因として、もちろんビットコイン送金が取引所にとってそれほど重要なビジネスではないこと、すなわち優先順位が低いこともありますが、コンプライアンス対応も悩みの種の1つだったかもしれません。特に国際的な金融コンプライアンスを定める機関であるFATFが定義するVASP(Virtual Asset Service Provider)に分類される事業者―日本語だと金融庁が「暗号資産交換業者」と訳しています―にとっては重要な問題です。トラベルルールの導入によって取引所からの出金が少し面倒になった(送付先についての情報を提出することが必須になった)のが記憶に新しいですね。
具体的にはすでに取引所などが入金される資産のリスク評価のために導入していたブロックチェーン解析ツールはライトニング送金の出処を突き止めることができないこと(できると主張するプロダクトを提供していないこと)、トラベルルール対応のベンダーがライトニングに対応していないことなどが考えられるでしょうか。コンプライアンス以外にももちろん技術的な課題などもあったでしょう。
個人的には国際的なコンプライアンスの枠組み、特にマネロン対策やKYCなどのコストは費用対効果の面で正当化できず、さらに民主的なチェック機構の欠如した国際機関(FATF)によって一方的にルールが決められている現状は不健全だと感じています。実際に、これらのルールの執行コストがそのルールで防げている金額の100倍のオーダーに及ぶと主張する研究もあります。またここには個人情報の流出リスクなどは加味されていません。
今日はCoinbaseのライトニング入出金の背後にいる技術プロバイダーがどういうコンプライアンス対応をしているのか、そしてほかにライトニング周りでどんなコンプライアンス系のプロダクトが出ているのか調べてみました。
・Coinbaseのライトニング入出金が採用したLightspark
・ライトニングエクスプローラーAmbossもコンプライアンス製品をリリース
・Chainalysisのライトニング対応