2022年3月2日 7 min read

今振り返るカザフスタンマイニング(1)~電力編

今振り返るカザフスタンマイニング(1)~電力編
Photo by Kyle Glenn / Unsplash

水曜日の私のコラムでは技術に関する記事を出していましたが、今回より少しテーマを変え、「暗号通貨と世界の今」という観点で時事的なコラムをお送りします。

今回はカザフスタンについて、ソ連からの独立以降の歴史や地理などを踏まえながら、今後のマイニング動向を深掘りして考察します。

筆者は世界の地理・歴史に関して興味がありまして、シルクロードの国々について趣味で調べていたこともありました。また、2022年はカザフスタンにとって動乱の始まりでした。今は少し落ち着いているとはおもいますが、ここで振り返ってみようという感じです。よろしくお願いいたします。

マイニングにおいては次の2点が重要だと思います。

1. 電力の価格、供給安定性

2. 政治的安定性、仮想通貨関係の政策方針

今回は1.について特にまとめようと思います。

カザフスタンとは

カザフスタンという国について、あまり馴染みもない方がいるかもしれません。今回のコラムに大いに関係しますので、まずは国の概略について説明します。

カザフスタンは人口が1900万人で、うち68%がカザフ語を話すカザフ系の人々が住んでいます。このカザフ人は、北部の草原に住んでいた遊牧民の子孫といわれています。見た目はとても日本人に似ているので、日本人がカザフスタンを歩いていると外国人と思われないかもしれません。

1850年代にロシア帝国に支配されるようになり、ロシア人農民が住むようになりました。現在も

カザフスタンで19%はロシア系の人であり、今でも特に北部のロシアと接しているエリアに多く住んでいます。(最近話題になっているウクライナでもドネツィク、ルハンスクといった東部州はロシア系が多いので、そういう点は似ていますね。)

いわゆるシルクロードは、一般に砂漠の中のオアシス都市を指すことが多いです。そのような都市はカザフスタンの南部や、南部に接している隣国のキルギス・ウズベキスタン・トルクメニスタンにありました。そのような関係で、現在でもカザフスタンの南部で経済活動が盛んで、アルマトイという街が最大の経済都市になります。

首都は、ヌルスルタンという街で1997年にアルマトイから移転しました。ヌルスルタンは以前アスタナという名前でした。遷都した際に初代大統領のヌルスルタン・ナザルバエフ氏の名前からつけられたようです。

カザフスタン経済について

カザフスタンは石油・天然ガス・石炭などの資源を輸出することによって、経済発展をしていきました。このような点は、ロシア経済に似ていると思います。2008年頃に、カザフスタンは1人あたりGDPが1万ドル以上になり、いわゆる中所得国の壁を越えました。しかし、2013年頃に原油価格が下がると、おおよそ連動して一人当たりのGDPも戻ってしまい、現在は、また1万ドル以下になってしまいました。中進国の罠を回避するには、資源に依存しない経済が今後必要とされています。

もともとは、ソビエト連邦でしたので、ロシアの影響が大きいとは思います。しかし、独立後に開発された北カスピ海の油田開発プロジェクト、例えばテンギス油田やカシャガン油田の開発には、欧米や東アジアの企業がかかわっています。米エネルギー会社「シェプロン」、「エクソンモービル」、露「ルクオイル」、伊「Agip」、仏「TotalEnergies」、米「ExxonMobil」、英蘭「RoyalDutchShell」、中「中国石油天然気集団」、日「国際石油開発帝石株式会社(現 INPEX)」など、かなり色々な国がかかわっています。

さらに、中国の影響も大きくなりつつあります。2011年3月、中国浙江省の義烏市からドイツのデュイスブルクまでの国際定期貨物列車「中欧班列」が運航開始しました。この路線はカザフスタン国内を通過しています。2013年9月、習近平国家主席はカザフスタンを訪問した際、ナザルバエフ大学で講演し、「シルクロード経済ベルト」構想を提唱しました。これはのちに「一帯一路」構想につながるものです。

ここまで見ればわかるように、中央アジアの要衝として政治的・経済的にもかなり重要度が高いことがわかります。それにより、隣国の大国であるロシアや中国とのかかわりが強く、一方で、欧米や日本にも結びつきがあるという、バランス型の外交をしているように感じます。自国でも国営会社による資源管理をきちんとしようとしています。

2021年夏ころのカザフスタン電力事情

2021年に、中国人民銀行が中国国内での暗号資産禁止令(決済や取引情報の提供など関連サービスを全面的に禁止)を発表しました。当時の中国は世界のマイニング拠点であり、これにより多くのマイニング業者が中国からカザフスタンへと移動したことはよく知られています。このあたりの事情を丁寧に振り返ってまとめます。

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