日本人がビットコインを敬遠する本当の理由
最近では日経新聞などの主要メディアでもビットコインの話題が増えてきました。それでも日本人の保有率は約10〜13%と、世界的に見ても後れを取っている状況です。
一方でアメリカでは、大統領自らが暗号通貨トークンを発行して資金調達をするという積極的すぎるほどの姿勢を見せています。
この違いは一体何なのでしょうか?
実は、その答えは私たち日本人のDNAに刻まれた特性にあります。今回は、この遺伝子レベルの特性を理解し、それを投資戦略の強みに変える方法について考えてみたいと思います。
日本人の脳に刻まれた「不安遺伝子」の正体
私たちの気分や不安感をコントロールする「セロトニン」という脳内物質があります。これは心の安定を保つ薬のような役割を果たしています。
ここで重要なのは、日本人はこの物質が最も不足しやすい人種だということです。
なぜ日本人はセロトニンが不足しやすいのか
セロトニンには「回収システム」があります。一度使われた後、再利用のために回収される仕組みです。
日本人の68.2%は、この回収システムが効率的でない「SS型」という遺伝子タイプを持っています。対してアメリカ人は18.8%のみ。つまり、日本人の約7割が「幸せホルモンを再利用するのが苦手」な体質なのです。
さらに困ったことに、新しいセロトニンを作るのも簡単ではありません。特別な材料が必要で、体が大量生産できるものではないのです。
結果として、日本人は慢性的にセロトニン不足に陥りやすく、不安を感じやすい体質になっています。
災害大国が育んだ「生存に有利な不安気質」
なぜ日本人にこの特性が多いのでしょうか?答えは日本の厳しい自然環境にあります。
地震、津波、台風、火山噴火。日本は世界の災害被害総額の20%を占める極めて災害の多い国です。このような環境では、常に「最悪の事態」を想定し、事前に備える能力が生存に直結することになります。
楽観的な人が「今日は晴れているから大丈夫」と油断している間に、不安気質の人は「もしかしたら災害が起きるかもしれない」と準備を怠りません。結果として、不安気質の人の方が生き残る確率が高かったのです。
つまり、私たちの不安気質は数千年かけて「生存に有利な特性」として選択され、遺伝子レベルで定着したものなのだと言えそうです。
投資行動への影響
この遺伝子的特性は、現代の投資行動にも強く影響します:
- 損失への過敏さ:1万円の利益より、1万円の損失を強く恐れる傾向が強い
- 未知への警戒:よく分からないものに対する強い警戒心
- 最悪シナリオ思考:マウントゴックス事件の再来を恐れる
- 集団同調傾向:他の人がやっていないなら自分もやらない
これらすべてが、ビットコイン投資に対してブレーキをかける要因となっています。
現代では不安気質が裏目に出ることも
しかし現代の資産運用においては、この特性が必ずしも有利とは限りません。
最も重要なポイントは、「資産運用をしても災害は起きない」ということです。「当たり前すぎる」話ですが、私たちの遺伝子はこれを直感的に理解していません。
「新しいものに投資する=災害リスク増大」と遺伝子が警告してしまうのです。
隠蔽工作も得意な日本人
この特性は時として組織的な問題も生み出します。2025年6月の報道で、いわき信用組合が2004年から247億円の不正融資を隠蔽していた事件がありました。調査報告書には「虚偽」が82回、「隠蔽」が104回も登場していました。
興味深いことに、この隠蔽工作が始まった2004年は、ビットコインのホワイトペーパーが発表された2009年より5年も前です。つまり、ビットコインより長期間の隠蔽を成功させていたのです。
細かいことが得意で事前準備能力に長けた日本人の特性が、こうした場面では「隠すのが器用」という形で現れてしまいます。
遺伝子は変えられないが、行動は変えられる
では、どうすれば良いのでしょうか?