2023年の初め頃にOrdinalsという概念が誕生して以来、ビットコインユーザーの間に溝が生まれています。かたや「ビットコインノードにビットコイン送金と無関係のデータを保存させるのは非中央集権の維持コストを増大させるほか、手数料の急激な高騰により多くのユーザーをクラウドアウトしてしまう」、かたや「ビットコインのユーザーが増えるし、実際投機ユースケースの手数料がマイニングの持続可能性に貢献する」という、どちらの主張にも説得力があることも事態を悪化させています。
手数料水準は上がったり下がったりで完全に送金用途で使えないほどではありませんが、以前の記事で紹介したRunesがリリースされた半減期直後はトランザクション手数料が著しく高騰し、半日ほどは少なくとも1,000 sat/vbyteもの手数料を支払わなければ承認が得られませんでした。一般的なトランザクション(140バイト前後)で言うと1万4千円です。
果たしてブロックチェーン上で投機を行うユースケースはビットコインにとってトータルでプラスの影響を与えるものなのでしょうか?簡単に結論を出せる問題ではありませんが、今日は両方の主張についていくつかの側面から強い部分・弱い部分を指摘してみます。
・反対派への指摘:クラウドアウトは現実問題として発生するが、取れる対策はない
・賛成派への指摘:ユーザーの増加やスケーリング圧力には長期的にメリットもあるが、マイニングの持続可能性が脅かされているというのは誤解
・まとめ