2021年6月25日 7 min read

投資と貯蓄

本コラムでは、資産形成手段である「投資」と「貯蓄」、そして資産形成を困難にする法定通貨制度の問題点、さらにビットコインがこの問題をどう解決するのかについて考察します。

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まず初めに「投資」と「貯蓄」の違いを整理しておきましょう。

投資とは、将来の期待収益を目的にリスク資産に資金を投下することです。配当や譲渡益を見込んで株を買ったり、家賃収入や売却益を期待して不動産を買うことは投資に該当します。今日1万円で購入した株は1年後に11,000円に値上がりする可能性もありますが、8,000円に値下がりする可能性もあります。

一方の貯蓄は、将来の消費、投資機会、不確実性に備えてお金を貯めておくことで、現在の購買力を将来へ移転する行為とも言えます。財産を増やすことが目的の投資とは異なり、貯蓄は減らさないことが大前提です。今日タンスに隠した1万円は1年後に11,000円に増えることがない代わりに8,000円に減ることもありません。今日の1万円は1年後も1万円です。

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投資と貯蓄を検討する際、考慮しなければならない現象があります。「インフレ」です。

図は、アメリカでのコーヒー1杯の価格推移を示します。1970年に25セントだったコーヒーは2019年には1.59ドルと536%も上昇しました。インフレはこのような物価上昇を指しますが、1単位の通貨で購入できるモノやサービスの量が減る(または質が下がる)と考えることもできます。1970年には1ドルでコーヒー4杯を買えたのに、2019年には3/5杯しか買えません。ドルの購買力が下がったのです。

では、インフレは資産形成にどう影響するのでしょうか?

期間1年、期待リターン5%という金融商品に投資したとします。1年後、期待通り5%のリターンが得られました。この投資は成功と言えますか?成功かどうかはインフレ率によります。5%は名目リターンなので、インフレ率が2%なら実質リターンは3%、インフレ率が8%なら実質リターンはマイナス3%で実損が発生します。貯蓄の場合、タンス預金は金利ゼロ、銀行預金もインフレ率を上回る利回りは得られないため、インフレが続くと将来に移転した購買力は減り続けます。そうなると、財産の購買力を維持したいだけの人もリスクをとって投資することを余儀なくされます。

しかし、投資で生計を立てるプロでさえ、コンスタントに勝つことはほぼ不可能なほど投資とは難しいものです。リスクとリターンは相関関係にあるため、インフレ率が高くなると、高リターンを求めて高リスクの投資に手を出す人が増え、結果的に失敗して資産を減らす人が増えます。図はアメリカのインフレ率推移です。2%前後で推移していましたが、コロナの余波で急低下、今年に入って上昇に転じ、先月は5%と2008年以来の高さを記録しました。もしこの高水準が続くなら、インフレで購買力を失わないためには、投資で毎年5%の名目リターンを達成する必要があります。

将来の不安を解消したい、子どもや孫により良い暮らしをさせたい、そのために資産を増やしたい、増やす必要はないけど今ある財産は守りたいと思うのは至極当然です。しかし、インフレはこうした当たり前のことを難しくするのです。

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では、インフレ、つまり、通貨の購買力低下の原因は何でしょう?

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