今週、ビットコインのトランザクション手数料は600sats/vbyte以上という歴史的水準に達し、ブロックの手数料が新規発行分の6.25BTCを超えるなど2017年末を彷彿とさせるバブリーな状況がありました。本日は日本時間に40sats/vbyte程度まで落ち着きましたが、北米が目を覚ましてからは再び次のブロックにトランザクションが入る水準は200sats/vbyteを超える状態で推移しています。

今年に入ってからOrdinal Inscriptionsの誕生などでトランザクション手数料の相場がここ数年に比べて高い状態が続いていますが、今回の桁違いの高騰もOrdinal Inscriptionsに関連しています。Inscriptionsを多用するBRC20というカラードコインプロトコルのようなものの配布が原因だからです。今日はビットコインの手数料高騰を招くBRC20の仕組みと、それに対するビットコインコミュニティの反応、そして私の予想する今後の流れを書いて行きます。

BRC20は非常に非効率なプロトコル

現時点でリファレンス実装や厳密な仕様は存在しませんが、公式?とされるドキュメントはこちらから見つけることができます。

まず重要なのはBRC20はビットコインの機能などではなく、ビットコイン上にデータを記録してそのデータをビットコインの外で解釈・検証しているものだということです。このパラダイムはクライントサイドバリデーションといい、RGBやTaroでも利用されています。ただし、それらはスケーラビリティやプライバシーなどを検討して長期間かけて開発されているのに対して、BRC20はおそらくOrdinal Inscriptionsでファンジブルなトークンを扱えるかの実験として考案された、乱雑なプロトコルという違いがあります。

その出自を表すようにBRC20ではトークンを初めてデプロイするときのみならず、デプロイされたトークンを小分けに発行(mint)するときや送金(transfer)するときにもInscriptionを作成する必要があります。1つ1つは小さなJSONデータであるためInscription自体のサイズはそれほど大きくありませんが、この仕組みのためにおびただしい数のInscriptionとトランザクションが生まれます。

例えば以下の内容のInscriptionでデプロイされたBRC20トークンを考えます:

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