2022年10月5日 5 min read

ビットコインをインターネット史としてたどる (1)

ビットコインをインターネット史としてたどる (1)
Photo by La-Rel Easter / Unsplash

ビットコインホワイトペーパーが10月31日に公開されたことから、この日を"Bitcoin White Paper Day"として、その誕生を振り返るイベントが開催されたりします。今年も日本を含め世界各地で開かれると思います。参加して思いをはせるのもいいかもですね。

さて、そんな10月になりましたので、改めてビットコインってなんで生まれてきたんだっけ、というところを振り返ってみたいと思います。

折しも10月3日、岸田首相が臨時国会の所信表明演説の中で、「メタバース、NFT(非代替性トークン)を活用したWeb3・0サービスの利用拡大に向けた取り組みを進めます」と明言しました。

岸田首相の所信表明演説全文
一はじめに第210回国会の開会に臨み、日本を守り、未来を切り開く覚悟を新たにしています。足元の物価高への対応に全力をもって当たり、日本...一はじめに第210回国会の開会に臨み、日本を守り、未来を切り開く覚悟を新たにしています。足元の物価高への対応に全力をもって当たり、日本...

ここでいうWeb3.0として、非中央集権的なパラダイムであったり暗号資産そのものの資産・通貨としての扱いを含むのかは分かりませんが、基本的にはそういった文脈の用語だと思いますので期待したいです。一国の成長戦略として言及されるほどのテーマとなった暗号資産です。明後日の方向に走り抜けて欲しくありませんので、なにが強みであり何を解決できるポテンシャルがあるのかについて見つめ直すべく、その誕生の歴史を振り返ってみましょう。

自分は、暗号資産はインターネット技術の発展として、未だ足りていないピースを埋めるために誕生したものと捉えています。こういった歴史観で俯瞰してみます。

では、現在からさかのぼる形で振り返ります。

用語「暗号資産」の誕生

2019年6月公布、2020年5月施行の資金決済法・金融商品取引法等の改正において、法令上の呼称「暗号資産」が定められました。

当時の金融庁設置の研究会では、Crypto Assetsという表現が国際的な場では用いられていると認識されており、そこから来ているようです。ただ、そうはいってもG20ではVirtual asset、FATF (Financial Action Task Force)ではVirtual Currencyと呼称していたり、と世界的にも統一感なく呼称されていたようです。また、研究会の議事録を辿ると、「仮想通貨」と呼ぶと「法定通貨」と誤解されかねない、という懸念があったようです。

そんな「仮想通貨」という呼称ですが、自分の記憶を辿ってみると、法令整備前の日本では、ビットコイン等を仮想通貨と呼称することが一般的だったように思います。この理由として、日本ではテレビゲーム産業が盛んであり、そこではゲーム内通貨が存在し、それを仮想通貨と呼称していた点があげられると思います。一般のゲーマーはコインと呼称しつつデジタル通貨という概念に当たり前のように接していたと。一方、そうしたゲームを開発する事業者はそれらをVirtualなCoinというニュアンスで仮想通貨と呼称していたようです。実際、国内特許を検索してみると仮想通貨という用語でゲーム内通貨まわりの知的財産がたくさん登録されていることが確認できます。

ということで、

デジタルでバーチャルな通貨という概念はテレビゲームにて親しみのある概念であった

といえるかと思います。そこから自然と仮想通貨という用語が広まり、冒頭の懸念点解消の試みの結果、「暗号資産」が定められたということですね。

ビットコイン誕生

さて、2018年のビットコイン誕生まで遡ってみると、実はビットコインホワイトペーパーには仮想通貨なんて単語は存在しなく、"Electronic Cash"であったり"electronic coin"と記載されています。

https://ipfs.io/ipfs/QmRA3NWM82ZGynMbYzAgYTSXCVM14Wx1RZ8fKP42G6gjgj

あくまで、"coin"なところに、一ゲーマーとしては親しみを感じます。

そんなビットコインですが、著者であるサトシナカモトは、何を課題視してビットコインを発表したのでしょう。

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