2021年11月5日 4 min read

サイファーパンクとデジタルキャッシュの歴史②

本コラムは【2021/10/22】サイファーパンクとデジタルキャッシュの歴史①の続きです。

暗号技術、暗号化権利をめぐる政府との戦いを制し、ネット上のコミュニケーションにおけるプライバシーを確保したサイファーパンクは、今度はネット上の支払決済におけるプライバシーを守るべくデジタルキャッシュ創造に邁進します。

以下、前編と同様、Bitcoin Magazine の “The Quest for Digital Cash”(デジタルキャッシュを追い求めて)を基にビットコイン前のデジタルキャッシュの歴史を振り返り、それぞれがビットコインの誕生にどのように寄与したのかを見ていきます。

https://bitcoinmagazine.com/.../bitcoin-adam-back-and...

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DIGICASH(1985年)

1983年にブラインド署名を考案したカリフォルニア大学バークレー校の暗号学者 David Chaum 氏は、公開鍵暗号を利用したデジタルキャッシュの開発を模索していました。1985年に成果をまとめた論文は “Security Without Identification: Transaction Systems To Make Big Brother Obsolete”(匿名のセキュリティ:政府を陳腐化するための取引システム)というタイトルからして、電子決済のプライバシーを守ることで監視国家の台頭を阻止するというサイファーパンクの気概が感じられます。

1989年、Chaum 氏は自ら構築した理論を社会実装するため、オランダのアムステルダムに移住して会社を設立、DigiCashをローンチします。銀行預金を検閲耐性のある暗号トークン変換し、銀行システムの外で個人がパソコンを使って送受金や保管できるサービスの提供を目指しますが、資金調達につまずき、事業は頓挫します。

DigiCashがサイファーパンクに残した最大の教訓は、デジタルキャッシュは単一障害点となる中央管理体を持ってはいけないということでした。中央集権的なデジタルキャッシュは規制圧力に弱く、運営会社の倒産リスクをともなうだけでなく、運営組織が通貨供給量を任意に操作できるという致命的欠陥を抱えています。

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