ビットコインの非中央集権性を守るには、ノードや開発者が世界中に多数いることが不可欠です。現状で比較的少数が寡占する「マイニングプール」が、国家などビットコインを攻撃・規制したい主体からすれば一番簡単な攻撃ベクトルという意見があります。今日は"Know Your Hashrate"というコンプライアンスの枠組みを提唱する事業者の出現と、マイニングプールの非中央集権化について解説します。
マイニングのおさらい
今回の話はマイナーとマイニングプールの違いが大事になるので、ここについてサラッとおさらいしておきましょう。マイナーというのは、ASICと呼ばれる専用計算機を用いてビットコインの次のブロックのハッシュ値を計算し、ブロックの採掘成功につながる「当たり」のナンスを見つける事業者のことです。今や大規模なマイナーでも安定した収益を上げることが難しいので、マイナーは「マイニングプール」という集団に参加し、仕事と報酬を分配します。ビットコインの採掘に使われるSHA-256の過去7日間のハッシュレートのうち、上位5位までのマイニングプールが約64%を占めており、上位10位までのマイニングプールだと92%を超えます。現在主要なマイニングプールは、マイニングプール運営者がブロックに含めるトランザクションを選択し、マイナーが関与する余地はありません。マイナーは比較的簡単にマイニングプールを切り替えることができます。マイニングプールは参入障壁が低く、入れ替わりが激しいです。多くのマイナーの参加を集めて大規模になることは容易ではありませんが、数年ごとにかなり顔ぶれが変わります。最近ではOKEx、Huobi、Binanceなどの取引所や、北米からLuxorが参入しています。