2020年5月6日 4 min read

Lnurlスタンダードの定着が与える影響を考える

Lightning Networkのユーザー体験や機能性の向上を目指すLnurlというスタンダードが、先日Coindeskの記事でも紹介され、水面下で少しづつ利用が進みつつあるのですがその概要と影響について考えてみます。

Bitcoin Wallets Are Adopting This Tech to Simplify Lightning Payments
Bitcoin’s Lightning network has a long way to go in terms of user experience. To tackle this problem, a standard known as lnurl is quietly gaining ground.

スタンダードの浸透というのは非常に地味なことにも思えますが、後で考察するようにERC-20トークンスタンダードなどその後の開発やビジネスの進展に非常に大きな影響を与えた事例もいくつもあるので、個人的には最近特にこれらのLN開発やユーザー体験を改善するスタンダードの浸透に注目しています。

現在のLNのユーザー体験の問題

研究所ではすでにLightningについて色々解説しているので、自分でウォレットを運用してLightningで支払いをしてみたり、Lappsと呼ばれるゲームやサービスを実験的に使ったことがある人も多いと思います。また、以前Lightningに関するウォレットの分類とそれぞれ一長一短ある、という説明をしましたが、共通して言えることは全体的にLightningのユーザー体験はまだまだ使いやすいとは言い難いです。

Lightning Walletの分類↓

Lightning Network Walletの分類と進化
Lightning Networkのウォレットの分類とそろぞれの特徴、メリット、デメリットなどについて簡単な比較表を作りました。(添付画像参照) こちらのURLからも確認可能↓ https://datawrapper.dwcdn.net/Wj608/3/?fbclid=IwAR3tcGugpxtncAENGYaZeBfyS_us-p0CIFbY67E4Iunda43b-eAPKkTVMeU 基本的には比較表を見てもらえれば、最新のLN Walletの特徴とメリット、デメリットをわかるようにまとめたのでそちらをご確認ください。以下いくつか重要ポイントを手短に補足します。 フルカストデ…

例えば、以前から研究所でも解説している通り、LN上で支払いを受取りたい場合Inbound capacityが必要になります。Inbound capacityを得るには、簡単に言えば他のノード運営者に「自分のこれこれのノード(ウォレット)にこの条件でチャネルを貼ってきてください」というリクエストをしなくてはいけないのですが、現状だとこのプロセスはマニュアルでNodeのURIやポート番号を指定する必要があったりわかりづらいです。

例えば、無料でInbound capactiyを提供してくれる「LNBig」((https://lnbig.com/...
lncli connect 028a8e53d70bc0eb7b5660943582f10b7fd6c727a78ad819ba8d45d6a638432c49@lnd-33.LNBIG.com:9735 >/dev/null 2>&1; lncli getinfo|grep '"identity_pubkey"'|sed -e 's/.*://;s/[^0-9a-f]//g'|tr -d '\n'| curl -G --data-urlencode remoteid@- 'https://lnbig.com/api/v1/oc...' &>/dev/null

Inbound capacityがないとLN上で支払いの受取りすら出来ないのですが、これだとかなり面倒くさい。何かこれをモバイルウォレットからQRコード読むだけで簡単に処理出来るようにならないの?といった問題を解決するのがまさにLnurlです。

Lnurlのスペックの一つ「Lnurl-channel」はまさに上記の例のようなチャネルの構築依頼をモバイルからQRコード読み取りで簡単に実現する為の共通スタンダードです。これを提案しているBitcoin Lightning Walletではすでに実装されており、BLWの利用者ならLNBigのサイトでQRコードを読み込むだけで簡単にInbound capacityをリクエスト出来るので、是非やってみてください。LNBigは無料で太っ腹にInbound capacityを提供してくれますし、かなり便利です。

同じ要領でLnurlは、LightningのノードIDを利用したQRコード認証(サインイン)システム(LNURL-auth)、QRコードを読み込むだけで指定額を自分のLightning walletにSweep出来る(LNURL-withdrawal)などが存在し、すでに主要なウォレットやLappsで採用されつつあります。

また、まだ利用は限定的ですが個人的には「LNURL-pay」というスタンダードに注目しており、これを使うことで自分のウォレットに紐づく「支払いリクエストURL」の共通フォーマットを作成することが出来るようになります。

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