2024年5月20日 7 min read

Vol.260 農林中金の損失拡大はビットコインの上昇圧力になる(2024年5月20日)

Vol.260 農林中金の損失拡大はビットコインの上昇圧力になる(2024年5月20日)

こんにちは。先週、農林中金が1.2兆円の資本増強を検討しているというニュースが報道され、大きな注目を集めました。

当記事では、農林中金の損失拡大要因を追うとともに、これが結果的にビットコインの上昇圧力につながる可能性がある点を検証していきます。

28兆円の外債を保有~CLOクジラで鳴らした農中

「農林中央金庫は、アメリカ国債などの債券の運用で多額の含み損が大きく膨らみ、この処理で来年3月期の最終利益が5000億円規模の赤字におちいる見通しになった」

農林中金 1兆円規模の増資検討 米国債など運用で多額の含み損(NHK 2024年5月19日)

農中はJAバンクシステムの中核機関であり、そのJAバンク全体の貯金残高は104兆円(!)を超えています(2021年3月末時点)。

すべての会員数は2020年末で1,136万人とされていますから、およそ日本の10人に1名が加盟する巨大な組織です。報道が出て一気に話題となったのも、農林中金の持つ組織力の大きさによるものでしょう。

ではここからは、農林中金の公開資料を見ながら、損失の要因を特定していきます。使ったのは以下の資料です。

2023年ディスクロージャー資料編

同中金は2023年9月末時点で、外国債券に28兆円(!)を投資しています。

2017年から2019年にかけ、担保付ローン債務(CLO;Collateralized Loan Obligation)を大量に購入し、「CLOクジラ」の名を世界にとどろかせた片鱗が見えていますね。

損失の主因は為替のヘッジ損

さて動向の最終利益を削った主要因は何でしょうか?もちろん米金利の上昇による債券価格の目減りもあるでしょう

ただ公開資料を見る限り、最大の要因は為替のヘッジ費用であることが分かります。

以下は資料17ページ目の公開情報です。

↑ 農中の金融資産と負債の明細には、通貨関連に1.1兆円を超える含み損が計上されている

農中が米ドル建ての券を購入する場合、将来、円高が進むと、米ドル建て債券の円換算価値が減少してしまうリスクがあります。

このリスクを回避するために、農中はデリバティブを用いて、償還期日に一定の為替レートで米ドルを円に交換する契約を結びます。

ところが今の市場で何が起こっているかというと、円安の加速です。

今回の決算データは2022年と2023年の半期(4月1日~9月30日まで)を比較しているわけですが、仮に6か月間のドル円終値平均で比較すると、以下のようになります。

① 2022年前半 135.19円

② 2023年前半 142.85円

つまり外債投資で為替をヘッジしていたがために、結果的にドル円換算で7.5円分の未実現コストが発生したということです。

結果として、時価で1.1兆円を超える含み損が発生したということですね。

足元では4.5兆円ほど含み損が拡大している可能性

さて農中の為替含み損、足元ではどのようになっているのでしょう?あくまで推測でしかありませんが、試算してみます。

この原稿を書いている2024年5月20日現在、ドル円レートは約156円です。つまり前章で書いた2023年の前期決算時と比較して、ざっと13円の円安となっています(156円-143円)

もともとドル円が7.5円変動したことで1.1兆円の差損が発生していたわけです。

7.5円:1.1兆円
13円:X 兆円
X = 1.1 * 13/7.5
X = 1.91

つまり足元では、1.9兆円の為替差損が含み損として増加している可能性があります。

さて問題は、これに留まりません。なぜなら外債そのものも金利の上昇で値下がりをしているからです。

乱暴ですが、仮に投資している外債すべてが米国10年債だったとします。

2023年4月~9月の平均金利は3.92%です。これに対して24年4月末時点の金利は4.68%となっています。

金利の上昇により、保有している債券の価格は下落します。その結果、含み損も拡大をしていることになります。

以下は2023年9月末→2024年4月末の7か月間での含み損がどの程度増えたのかを試算したものです。

↑ 農中の外債含み損の増加額ラフ(2023年6月→2024年5月の増減額) claude 計算

2.6兆円ほど含み損が増えていることになります。

外債の含み損  2.6兆円増加

為替ヘッジコスト  1.9兆円増加

つまり、足元では含み損が4.5兆円ほど拡大をしている可能性があるということですね。

もちろん、農中が米10年債ONLYで運用するわけもありませんし、為替のヘッジ方法などもいろいろな手段を講じているものと思われます。ここで出した試算は、単なるラフな計算です。

ここでお伝えをしたかったのは、巨額の外債運用には、それなりのリスクがあるということです。

では、これらがビットコインの投資戦略にどのような影響を与えるのかを考えていきたいと思います。

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