アルゼンチンの新大統領に、ビットコイン推進派のハビエル・ミレイ氏が選ばれました。右派の政治アウトサイダーで、斬新な発言で知られる人物です。中央銀行の廃止や米ドル基軸通貨化など、注目を集める主張を展開しています。
開票途中でライバルのマッサ候補も落選を覚悟したほど、明らかな差をつけての勝利となりました。私は、この動きはアルゼンチンにとどまらず、他国に同じような動きを招くと考えています。
当記事では、アルゼンチンに続き、ビットコイン推進派の政権が誕生する国がどこになるのかをランキング形式で予測してみたいと思います。
ビットコイン推進派が政権を取る可能性が高い国ランキング
まず最初に、ビットコイン推進派が政権を取りうる国をランキングしてみたいと思います。ここでは独裁体制などの要因は考慮しないで、純粋に可能性に焦点を当てます。
ビットコインは完璧な通貨として市場に認知されているわけではなく、各国の通貨の機能不全が浮き彫りになる中で、代替手段として注目されていると考えた方が自然でしょう。
各国通貨の問題をランキングすれば、ビットコインへの潜在的需要が高そうな国が見えてきます。
そして、アルゼンチンよりも潜在ニーズが高い国は、ビットコイン推進派が政権を取る可能性が高くなるでしょう。
ここからは、以下の項目別に見ていきます。
- インフレ率
- 銀行の非充実度
- ビットコイン保有率
- 軍事支出/GDP比率
インフレ率
まずインフレの状況です。アルゼンチンの2023年10月インフレ率は前年比で142.7%を記録しています。このため自国通貨への不安から、ドルなどの代替手段に目を向ける人が増えています。
ランキングを見てみましょう。こちらは2023年10月時点ですが、一部は推計も含まれます。
↑インフレ率ランキング (TRADING ECONOMICSより)
10%を超えるインフレ率の国では、通貨価値の不安定さから、多くの人が代替の決済手段を求めているのが現状だと考えられます。
トルコ・イラン・ナイジェリアなどでは、ビットコインなどの暗号資産への関心が高まりつつあるのではないでしょうか。
銀行の非充実度
次に各国の銀行インフラの利便性を見ていきましょう。世界銀行とグローバルフィンデックスのデータをもとに、AIに国ごとのスコアを算出してもらいました。
ここでは銀行インフレが弱いほどビットコインが必要とされる前提に立ち、スコアを逆転(10-スコア)して表示しました。
出典:https://www.worldbank.org/en/publication/globalfindex/Data
↑ 銀行の整備不具合度数ランキング
銀行インフラへのアクセスが困難な国では、暗号資産への関心が高まりつつある可能性が考えられます。データからはインド、トルコ・ナイジェリア・ロシアなどがそうした例と見られそうです。
ビットコイン保有率
次に各国のビットコインの利用実態を見てみましょう。ここでは、ビットコインを利用したことがある人の割合を国別に示したデータを使います。
↑ ビットコイン保有比率の推計
出典:https://www.statista.com/statistics/1202468/global-cryptocurrency-ownership/
利用経験率が高い国では、ビットコインに対する旺盛な需要があることが反映されています。アルゼンチン、ナイジェリア、トルコなどがその例です。
軍事支出のGDP比率
各国の軍事支出がGDPに占める割合を見てみましょう。
↑ 軍事支出/GDP比率
出典:SIPRI (2022), "Military expenditure by country as percentage of gross domestic product, 1988-2021"
もともと法定通貨は、軍費を調達するために生まれた経緯をもっています。日銀のホームページにも、同行の起源は西南戦争にあると明記されています。
軍事支出のGDP比が高いと、その資金需要が財政を圧迫し、最終的には通貨を印刷して資金をまかなおうとする動機が強くなります。
潜在的なインフレ可能性が高いと言えるわけですね。
日本基準で考えると間違ってしまう理由
さてここで振り返っておきたいのは、日本は常にランキング下位にいるという点です。
○ インフレ率 下から2番目
○ 整備不具合度数 最下位
○ ビットコイン保有比率 下から2番目
○ 軍事支出/GDP比率 下から3番目
日本は経済も金融システムもいい感じで安定しているため、ビットコインへの需要が潜在的に小さいのです。しかしビットコインには国境がありません。
他国で大きく買われれば、価格上昇の影響を日本でも受けることになります。ですから、日本人がビットコインの動きを見るときは、意識して地球規模で捉える必要があるのです。