ロシアの民間軍事会社ワグネルがモスクワ攻撃を始めるかと思いきや,電撃の手打ち。今朝はワグネル代表のプリゴジン氏が、「ショイグ国防相や大富豪が自身の利益のために戦争を始めた」とコメントしたとか。
流転する情勢を見ながら、歴史を学んでいる人に聞いた「歴史学は文献史だ」というコメントを思い出しました。過去の歴史現場に立ち会った人々は生存していないため、私たちは残された文献を通じて歴史を理解するしかないという意味です。
ロシアの話題は現在進行形ですが、世の中で語られているストーリー(虚像)とリアルとが一致している保証がない点で、歴史と同じだなと感じました。
虚像とリアルが連続するという意味では、相場もまったく同じですね。数字の裏付けが虚像かリアルかなんてポジションを持ってしまえば何も関係ありません。
それでも自分の損益だけはリアルに動き続ける。ある意味で虚像の中のあるリアル。このあたりに相場が人を惹きつけるヒントがあるのでしょう。
さて前編ではBlackRockのETFが承認される前提で考えてきました。後編では逆に、SECがBlackRockの現物ETFを却下するかもしれない理由を考えてみたいと思います。そして最終的にはビットコインの現物にプレアムが付く可能性を考えてみます。
SECが現物型ビットコインETFを許可しない理由は信用創造できないから
もしSECはビットコインの現物型ETFを承認しないとすれば何が理由なのでしょう?おそらく可能性の一つは、信用創造ができないからです。
以下は信用創造の定義です(ご存じの方はスキップしてください)
信用創造は、金融システムにおいて信用や貸し出しを通じて新しい資金を創出する過程を指します。具体的には、銀行や金融機関が預金を受け入れ、その預金を元に融資や投資を行うこと。
銀行は預金の一部しか準備金として保持せず、預金以上の金額を貸し出しや投資の形で供給することができます。
ETFと信用創造に何の関係が?
現在の米国で許可されているビットコインETFうち、最大の資産残高を持つ銘柄は、2023年6月26日現在ProShares Bitcoin Strategy ETFとなります。ティッカー名はBito。
同社保有のETF資産残高は、6月23日時点で以下のとおりです。
CME先物市場で建てているポジションの評価額が1.07 Billion USD(a)となっています。
ビットコインCME先物市場のレバレッジは4倍ですから、必要な証拠金はポジション評価額の1/4。ざっくり0.25 Billion USDです。
一方、ETFを購入した顧客からは満額の資金を預かっています。となると余剰資金が出てくる…
結果、証拠金に入りきらなかった資金は、米国債の保有に回ることとなります(b)。金額にして0.45 Billion USD。
つまり、BITO(仮想通貨関連のETF)を購入した顧客の資金のほぼ半分は、実際には米国債の購入に使用されていることになります。