9月も最後の週となりました。2022年も気がつけば最終四半期が目前。時間の経過は、いつも早いものですね。
ところで筆者は第2次ベビーブーマー世代。偶然か必然か、まわりの話題はこの数年で親の介護トピックに塗り変わった感があります。
筆者の父親も7月まで元気はつらつ90歳。この2ヶ月で急速に病状を悪化させ入院しています。この3連休では、母上の法事をすべく、多分最後と思われる一時帰宅を敢行。病院と介護サービスのコロナ対策で会うことが叶わなかった(県外の)筆者も、父親と5年ぶりの再会を果たすことができました。
世界を見渡せば「もう終わり?」という空気のコロナですが、一度病院や介護施設に入ってしまうと、もう会うのは至難の業ですね。最後に一度でも会うことができた自分は、とてもラッキーでした。
ふと冷静になって考えてみるのですが、自分と父親の年齢差は約40年。つまり自分の意識が残る時間も、最長でも40年なのだと、改めて認識しました。
会える人には会える時に会い、できることはできる時にしておく。そのために限られた時間と体のリソースを何に振り向けていくのかを考えるステージに入ったのだなと、すこし感慨深くなりました。
出入り口を抑えられている「お金」
さて地元の四国に4日間ほど帰省した期間、高校時代の友人に会う機会を得ました。彼は徒手空拳から飲食チェーンを立ち上げ、今まさに新しい形態へと業態を一新すべく準備を進めている経営者です。
昔のアホな話をする中で、まさに今の「お金」で起きていることと同じことが飲食店に起きている知ることになりました。少しこちらでシェアをさせていただきます。
今の飲食店は出入り口から中まで抑えられている
まず最初に飲食が変わってしまったのは、レビューサイトの登場だそうです。別に新規の人が来てくれるんだからいいやんと思っていたら、そうでもないんですね。
自分達の集客努力で得たお得意さんが店の予約を取ろうとググる。すると以前は電話番号が上位に出てきたものの、今はレビューサイトが広告費を大量投下し検索トップに出てくる。予約する側は意識せずそれらのサイト経由で店に連絡をするため、売上の一部を成功報酬として取られてしまうそうです。
こうして、店に来る人の入り口を抑えられてしまったと彼は言います。
出口が抑えられ、なし崩し的に中身までも押さえられる
それまで現金決済が中心だったものの、電子マネーやクレジットカードで「キャッシュレス」が怒涛の如く標準化。支払う側は意識をしていなくても、受け取る側には手数料が発生します。
確かに現金で支払うことができる環境で、あえてキャッシュレスを使われると、手数料が抜かれるだけの丸損ゲームとも言えます。
クレジットカードの2大ブランドが立ち上げ収益を得る米国に、決済を公的なものと考え手数料を徹底的に抑制する策をとった欧州。それらに挟まれ、日本でのクレジットカード課金手数料は、なかなか高いものとなっています。
クレジットカードの課金費用については、あまりの酷さに公正取引委員会も調査を実施しています。
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2022/apr/220408.html
本年11月にはカードのインターチェンジ費用が発表される見通しとか。
https://www.meti.go.jp/press/2022/09/20220914001/20220914001.html
飲食店で売上の3%を超える費用を取られるとなると、利益率も下がりますね。
こうして出口と入口が抑えられてしまった飲食店の行き着く思考は、当然ながら人件費の抑制です。ホールスタッフを減らすため、タブレットでの注文システムを導入するところが増加。
結果、注文システムにさえも利用費がチャージされるようになってしまいました。つまり出入り口に加え、今は「中」までも押さえられてしまったと。
来店者もレビュー比較に慣れ、店舗をコモディティとして見るようになり、無理な要求が常態化した部分もあるそうです。たとえば誕生日のサプライズなど、最初は店側の好意でしていたことが当然のように要望されたりすることとなっていたりと。
そのような環境変化はコロナの前から進んでおり、今からは大手以外が淘汰される完全レッドオーシャンとなることが自明だったので、ここ5年ほどで新形態の立ち上げを実行してきたそうです。なかなかに好評だとか。目の付け所ですね。
さてこんな飲食店の「出口が抑えられ、なし崩し的に中身までも抑えられる」状況を聞き、まさにお金で起きていることと同じではないかと思った次第なのです。