2020年6月9日 4 min read

バイナンスのステーキングの収益性を検証する

バイナンスやコインベースが取引所口座でステーキングサービスを始めているのはご存知の通りです。

これは、対象のコインを取引所の口座に置いておくだけで、毎月ステーキング報酬が振り込まれるという形になっています。

おもな銘柄に、TEZOSや、EOS、ATOM、KAVAなどがあります。

はたして、これは顧客からみて収益がえられるのでしょうか。自分でステークする場合とくらべてどうでしょうか?

代表的なATOMの事例を元に実態を分析してみます。

バイナンスで4割の手数料が抜かれていた

まず、バイナンス口座においておくと幾らの報酬がもらえるのか。

ATOMの場合、サイトでは5-7%(年)(変動する)がありました。

実際に私がATOMを預けてみたところ、実測値で、およそ6%の報酬(年換算)が毎月1回振り込まれるという形になりました。

これと、自分のウォレットからステーキングをした場合の報酬をくらべてみます。バイナンス口座にいれず、自分でステーキング行った場合の報酬ですが、

現在では、約10%の報酬になっています。これが本来のステーク報酬です。

一方でバイナンス口座の場合6%しかもらえないのですから、4割の手数料が抜かれているかたちになります。4割の手数料というのは、感覚的には非常に高いと感じますね。

これは妥当なのでしょうか?

機会費用のオプションプレミアムとして考える

まず、この40%の手数料を、オプションだと考えるとどうでしょうか。

オプションというのは、ATOMの場合は自分でステーキングしてしまうと、直ぐに取引することができません。ステーキングを解除してから21日間はコインをうごかせない「アンボンド」の期間が生じ、この間はコインが動かせないことにくわえて、ステーク報酬も貰うことができません。

一方で、バイナンスの場合は、4割中抜きされるものの、いつでも売買可能になります。

この機会費用を、一種のオプションと考えて、バイナンスの手数料をプレミアムと考えましょう。

短期ではむしろバイナンス口座のほうが得

現在ATOMの価格はおよそ3ドルです。この場合、毎月得られるはずの本来のステーク報酬は、2.5セント。バイナンス口座に預けた場合このうち1セントをオプションプレミアムとして支払うという計算になります。

もしATOMを短期で売買する場合は、プレミアムを払ったほうが得です。もし、ウォレットでステークしてしまうと、21日のアンボンド期間は報酬を得られません。

たとえばウォレットで、1ヶ月ステークして、その後アンボンドして21日後に売る場合、

ステーク報酬(1ヶ月分) 2.5セント

アンボンド期間(21日間無報酬)

たいして、バイナンス口座に入れて、1ヶ月と21日後に売る場合

報酬(1ヶ月と21日) 2.625セント

ということで、バイナンス口座においたほうが報酬も増え、さらにトレード機会も失わないということになります。

つまり、1ヶ月と21日以下のトレードであれば無条件でバイナンス。

それ以上の期間預ける場合は、バイナンスの手数料が機会損失に対するオプションプレミアムとして妥当かどうかを判断することになります。

取引所のビジネスの視点からステーキングサービスの収益性を検証する

さて、ここまでは顧客側の視点でかんがえました。

次は、取引所のビジネスとしての視点で考えてみます。このステーキングですが、バイナンスからみて収益はあがっているのでしょうか?

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