通貨発行権を最大限に活用し国益を確保する
アメリカの選挙が終わり、トランプ大統領の当選後、暗号資産市場は大きな転換点を迎えています。
トランプ氏は米国を「世界の暗号資産の中心」にすることを約束し、ビットコインの「戦略的準備金」の設立を提案。
これを受けて11月6日にはルミス上院議員がビットコイン準備構想を発表しました。
米国が保有する金の一部を売却し、財務省が5年間で100万ビットコインを取得するという内容(こちら)です。
当記事では、市場の動きを分析していくと、「この構想がMicroストラテジー社の買収という形で実現される可能性が浮かび上がってくるよね」という一つの考え方を書いてみたいと思います。
市場は米国のビットコイン備蓄戦略が実現すると織り込んでいる
まず、この構想に対する市場の実際の反応を確認してみましょう。11月6日の発表以降、かなり衝撃的な値動きが観測されています。
11月6日以降、ゴールドのビットコインに対する比率が急速に低下。直近では2024年入りしてからの最低水準を割り込んでいます。
この動きは、市場参加者が(ゴールドを売って資金調達するという)ビットコイン準備構想を現実として捉えているとも言えそうです。
さらに注目すべきは、ETFの資金フローです。
11月6日以降の累計では、ゴールドETFから約14.5億ドルが流出する一方、ビットコインETFには約41億ドルの資金が流入しています。
つまり、表面的な価格変動だけでなく、実際の資金移動においても、ゴールドからビットコインへのシフトが確認できるのです。
Polymarketが示す手堅い市場予測
今回の米国選挙でトランプ大統領勝利の可能性を最も早く示していたのは、Polymarketのベッティング市場でした。
現在、同市場はトランプ大統領による国家ビットコイン備蓄の実現可能性について21%という予測を示しています。
この21%(記事を書いている間に25%へ変わりました...)という数字から、単純計算で期待値としての購入量を算出すると、約210,000ビットコインとなります。
1,000,000 BTC × 0.21 = 210,000 BTC
これは「期待値」の考え方で、例えば「100万円が当たる宝くじで、当選確率が10%の場合の期待値は10万円」という計算と同じ原理です。
つまり市場参加者は、ビットコイン備蓄戦略が21万ビットコインくらいから段階的に始まっていくと考えていることになります。
ですが、現実的にこれだけの数量を市場で調達しようとすると、ビットコインの値段は跳ね上がってしまい、当初の予算では収まらなくなってしまいます。
どうすれば購入予算を抑制しつつビットコインを確保できるでしょう?この21万という数字を見てピンときた人もいるかも知れません。
この数字、現在のMicroストラテジー社の保有量279,420ビットコインに近似しているんですね。
米政府によるMicroストラテジー買収という現実解
2024年11月10日現在、Microストラテジー社の時価総額は約664億ドルです。これはFRBの総資産69,670億ドルの1%にも満たない規模です。