ビットコインを利用する上で比較的シンプルながらパワフルなプライバシー技術にPayJoinがあります。個人的にはとても好きな技術ですが、対応するユーザーや事業者はまだ非常に少ないです。その理由の1つとして、送金者からPSBTを受け取って自らの入力を追加するためにサーバーを運用する必要があることが挙げられます。
Serverless Payjoinとはこの問題を解決すべく、サーバーを立てることなくウォレット同士の通信でPayJoinを行うための追加の仕様です。
送金者と宛先のコインを混ぜるPayjoin
PayJoinとは送金者と宛先が協力してトランザクションを作成し、双方がコインを入力・出力することによって"Common Input Ownership Heuristic"と呼ばれるブロックチェーン解析手法を無効化するプライバシー技術です。通常はトランザクションの入力に使用されるTXOは全て同一人物が保有するものなのでブロックチェーン解析によって資金の動きを分析する際にはそれを前提に分析しますが、PayJoinにおいては複数ユーザーのTXOが混在するためこの前提を密かに覆すことができます。
PSBTという、作成途中のビットコイントランザクションをやり取りする際のフォーマットが規格化されたことによって扱えるようになったPayJoinを受け取るにはBTCPay Serverを立てるのが一番手軽かもしれません。ただし、PayJoinに対応したウォレットを用いるユーザーしかその機能は利用できません。
PayJoinについては過去に投稿しているのでそちらを御覧ください。
【2020/3/5】CoinJoinの進化版としてのPayJoin
https://coinkeninfo.com/payjoin-as-an-evolution-of-coinjoin/