創業者が懲役5年を求刑されたSamourai Walletの仕組みをCoinjoinやP2P型の構造から解説し、プライバシーツール規制の是非を考察します。
ここ数年のオンチェーンプライバシーツールに対する法的措置でTornado Cashの創業者が逮捕されたり、Wasabi WalletがCoinjoin機能を廃止しました。その一環として逮捕・起訴されたSamourai Walletの創業者たちはアメリカで懲役5年を求刑されています。

個人的には、Samourai WalletはWasabi Walletとの間でファン同士が常に口論している印象がありました。ハードウェアウォレット業界にもいえますが、よく言えばビットコイン界隈では互いに批判し合うことで切磋琢磨する風土があります。(悪く言えば、誤った内容の批判も見受けられるので、こういった論争はあまりあてにしないほうがいいかもしれません。)
その中でよく目にしたのは、Samourai Walletはユーザーのウォレットのxpub(拡張公開鍵)をサーバーに送る仕組みになっているという、目を見張る批判です。プライバシーツールなのに、ウォレットの全貌をサーバーに送るとは何事でしょうか?調べてみると、この批判にも真っ当な側面と過剰な部分がありました。
今日はSamourai Walletについてどういう仕組みだったのか、プライバシー面での長所や欠陥がなんだったのかについてわかりやすく解説し、さらにSamourai Walletのようなオンチェーンプライバシーツールの運営が違法な扱いを受けていることの正当性に疑問を提示します。
・ユーザー同士で集まってUTXOを混ぜることを繰り返すWhirlpoolの仕組み
・ユーザーの大半はセルフホストしていたが、それ以外のユーザーは確かにxpubをサーバーに送ってウォレットの内容を問い合わせていた
・カストディではなく、P2Pの部分も多く、さらには短期的なマネロンには向かない仕組みをマネロンや無許可送金事業と呼ぶのは無理筋ではないか