最近はビットコインの手数料相場が低めで推移しているため、送金が詰まってしまったという方は少ないかもしれません。しかし、ギリギリの送金手数料でトランザクションを配信した後、手数料相場が上昇してしまって送金が取り残されるという経験をしたことがあるビットコイナーは多いはずです。

個人の送金であれば、同じトランザクションの手数料を増やして再配信することができます。このReplace-by-feeという挙動が既定になって数年が経ちました。

Bitcoin Core 24.0からのFull RBF既定化についての議論まとめ
この1週間ほど世間の話題はFTXの信用不安問題で持ちきりですが、ビットコイン開発者の多くは全然違う論争に巻き込まれていました。Bitcoin Coreの次期リリースである24.0において、ノードのポリシーとしてFull RBF (mempoolfullrbf)というものが導入される予定のところ、これに反対する意見が出たためです。 結果的には導入継続という流れになりましたが、このように誰でも意見・議論できることがビットコイン開発における健全性維持の1つの仕組みです。 それでは議論の内容を見ていきましょう。 RBFとは RBFとはReplace-by-Feeの略で、配信したがまだブロックに取り込まれていないトランザクションを、より高い手数料を払って置換することをいいます。トランザクション作成時にそのトランザクションにRBF有効のフラグが立てられている場合、同じコインを使用する別のトランザクション、つまり相反するトランザクションを配信して古いものを置き換えることができます。(置換されるトランザクションより手数料が高いこと、置換されるトランザクションがまだブロックに取り込まれていない

しかし、「事前にトランザクションを署名して手元に置いておく」ようなユースケース、つまり将来的にRBFすることが必ずしもできないケースも存在します。そういうときにはCPFP(Child-Pay-For-Parent)という、「余分に高い手数料を払う子トランザクションとセットで取り込んでもらう」手法もあります。手数料が安すぎるトランザクションが取り込まれれば、その次の手数料が高すぎるトランザクションも取り込めるので、マイナーがトータルで見れば相場以上の手数料収入を得られるというロジックです。

CPFPについては下記の記事でも触れています。

Mempool.spaceの「トランザクションアクセラレーター」はマイニングやメモリプールにどういう影響を与えるのか
Bitcoin 2023カンファレンスではビッグな発表がいくつかありました。その中でも3本の指に入るものにmempool.spaceエクスプローラーを運営するMempool社が「トランザクションアクセラレーター」サービスの提供を開始するという発表がありました。 これはユーザーがMempool社に手数料を払うことで、Mempool社と提携したマイナーが任意のトランザクションを(トランザクション内で支払った手数料に関わらず)次のブロックに入れてくれる、というものです。 このサービスの存在意義について、RBFやCPFPといった方法でトランザクションの手数料を後から追加することができるのになぜ?という声もありました。また、もしもこのサービスの利用が増えてしまうとビットコイン自体に様々な弊害が生まれることを懸念する意見もあります。 この記事では新サービスの概要と想定される影響について情報を整理します。 ビットコイントランザクションの配信と承認 今回発表されたMempool Transaction Acceleration Marketplaceには主に2つの用途が考えられます。「ノン

それでも、ビットコインノードがトランザクションを伝播する際の方針に「トランザクションの手数料率が1 sat/vbyte以上」という原則があるため、ごく少額のダストアウトプットを含めるなど様々な工夫が必要になってきました。それが、Bitcoin Core 28および29のリリースによって一部のケースにおいて撤廃されたので、今日はレイヤー2のビットコイントランザクションの手数料の扱い方がどう変わるかについて調べました。

マニアックな話ですがお付き合いいただければ幸いです。

・「事前に手数料率を決めない」ために使用されているAnchor Output

・UTXOセットの肥大化につながらないため許されたPay to Anchor

・Arkのようなプロトコルで使うためにはさらなるポリシー変更が必要?