ライトコインで、MinbleWinbleを使えるようにするソフトフォーク案が提案されていて、ここしばらく話題になっています。
もしこれ通って実装されると、コインの運用方針としての大きな転換になり、その成否が注目されそうです。
1. MinbleWinble(MW)とは?
MWとは、一般的には匿名型のコインの一種ととらえられています。
現在存在するものとしては、Grinと、BEAMの2つのコインがMWで動いています。
最大の特徴は、
・数量、送金・受取アドレスの3つが秘匿される
・ブロックチェーンのサイズが小さくなる
というものです。
ブロックの構造も普通のコインとは大きくことなっており、特異なチェーンといえましょう。
MWの一般的な説明はこちらのサイトがわかりやすくまとまっています。
https://mimblewimble.jp/?fbclid=IwAR27sQIUySwmXJoXy6Hyq5znk1wARm51ELfbxBrNF4ErEY4afTgvxn7ij7g
2. MinbleWinbleの背景
もともとMWは、2016年に仮名の技術者によってメーリングリストに投稿された短い論文から始まります。
Minble Winbleとは、ハリーポッターに出てくる呪文の名前です。
従来のトランザクション構造を持たず、不要なトランザクションを圧縮できるために、ブロックサイズを小さくすることができるとかんがえれていました。
そのため、いわゆるブロックサイズ論争(最終的にBCHの分離によって決着をみる数年に渡る論戦)の切り札になるのではないかと言われていました。
しかしMWの構造は従来のもととは全く違うためメインチェーンでの実装は困難と評価されました。そのため、サイドチェーンで実現するという構想にシフトして研究が継続しました。
しかしながら、最終的にはサイドチェーンではなく、独立したコインとして、2つのプロジェクトが立ち上がり、それぞれGRINとBEAMという形でコインになりました。サイドチェーンへの実装は行われなかった形です。
3. ライトコインのサイドチェーンでの実装
今回のライトコインでの提案は、サイドチェーンをつかってMWを実装しようというものです。別のコインではなく、ライトコインそのものがMWのプロトコルで動くようになります。
ライトコインでMWを利用するには、
・Peginアドレスにライトコインを送り、MW-LTCを生成する
・それ以降、MW-LTCは、サイドチェーン内でのみ移動できる。
・MW-LTCは、数量・送金・受取アドレスの3つが秘匿される。
・MW-LTCは、元のLTCに戻すことができる(Peg-out)
・サイドチェーン内は、別のブロックが生成され、メインチェーンとは別のマイナーによってGPUのマイニングが別途おこなわれる
というのが概要です。サイドチェーンというテクノロジーは、Pegin-Pegoutを設けることで、コインを別のチェーン(サイドチェーン)に移すことができます。サイドチェーン内では、チェーンの構造やコンセンサスプロトコルや、ブロックタイムなども自由に設計できますので、メインチェーンではできなかった実験的な試みも自由にできるというわけです。
さて、ライトコインで提案されているサイドチェーンは、Extention Blockと呼ばれるものです。これは、新しいSegwitのバージョンのトランザクションを定義することで、Pegin-Pegoutを実現するもので、ソフトフォークを伴い、プロトコルの変更が必要なものになります。
4. ビットコインのサイドチェーンと何がちがうのか?
さて、サイドチェーンで匿名TXがつかえるというのは、ビットコインのサイドチェーンであるLiquidでも同様です。Liquidでは、CT(Confidental TX)という機能が使えて、送金数量を秘匿することができます。
つまり、すでにビットコインでもサイドチェーンに送ることによって、匿名機能がつかえるのです。