前回に引き続き、今年の振り返りです。
テーマは先週予告した通り、「非中央集権性」についてです。
奇しくも、今週はWeb3をめぐる論争がTwitterで勃発し、その中で「非中央集権性」に対するさまざまな見解が示されました。ステークホルダーとしてどの位置に陣取っているかで、解釈がここまで異なるのかと改めて驚いたところです。
ことの発端は、先日Twitter CEOを退任したばかりのJack Dorsey氏のツイートです
(https://twitter.com/jack/status/1473139010197508098)。
『web3』で勝つのは君ではなくVCとそのLP。インセンティブがそういうふうに設計されている。単に看板を付け替えただけの中央集権的組織。踊らされないように、しっかり状況を見て。
これを見たシリコンバレーのVCの猛反撃が始まります。それに対しビットコイナーがすかさず応酬、途中でElon Musk氏まで興味本位で参加してくるという、退屈を絵に描いたような相場に飽き飽きしていたTwitter民の格好の娯楽となりました。
数年前からちらほら耳にはしていた「web3」、この機会にクリプト界隈が何を持ってweb3といっているのか調べてみました。
その前に、そもそもweb1、web2とは何なんだという疑問がわきます。シリコンバレーのVC a16zは最近web3を大プッシュしています。a16zを率いるのはMosaicを共同考案後、Netscapeを創業した、ワールド・ワイド・ウェブがメインストリーム化した時代の寵児とも言えるMarc Andreessen氏です。そのa16zはweb1、web2を以下のように定義しています。(https://future.a16z.com/why-web3-matters/)
- Web1(1990〜2005年頃): 非中央集権的かつコミュニティガバナンスをベースに開発されたオープンプロトコル。創造された価値を享受したのはユーザーや開発者などネットワークのエッジに位置した人。
- Web2(2005〜2020年頃): 企業が運営するサイロ型、中央集権型のサービス。恩恵を受けたのはGoogle、Apple、Amazon, and Facebookなど限られた大企業。
WEB3とは?
a16zはweb3 Policy Hub(web3政策センター、https://a16z.com/web3-policy/ )というサイトを開設しています。そこに書かれている内容の要点は以下の通りです。
- 巨大テック企業の寡占と並行して進むデジタル全体主義により、オープンだったインターネットが閉鎖的で不健全なスペースになった
- データの不正流出などセキュリティ低下の根源もここにある
- この問題を解決するのがweb3
- web3とは暗号資産、DeFi、ブロックチェーン、トークン、DAOを活用して、現在密室で行われているインターネットの将来やインセンティブについての意思決定をガバナンストークンを使ってコミュニティに移管
- 結果、アプリ開発やコンテンツ制作を介して市場提供される価値に見合った正当な報酬がクリエーターに還元され、ユーザーはこれまで商品として売られていたプライバシーを奪還できる
- web3は企業の信頼回復と機会平等をもたらす
- web3にはイノベーションを阻害することなく消費者も保護するなど巧妙な政策が必須
上記のミッションやゴールを記載したすぐ下のセクションには、チームweb3 Policy Hubとして、a16zのパートナーの他、SECやCFTC出身のアドバイザーの写真がズラッと並んでいます。
さらにa16zは今年10月に「The web3 Landscape」(https://a16z.com/.../2021/10/The-web3-Readlng-List.pdf )なるレポートも出しています。以下、冒頭のメッセージです。
次世代のイノベーションとイノベーションが創出する新たな経済圏は非中央集権的技術をベースとする
レポートではweb3の鍵となるアプリ、領域として以下の6つを挙げています。