米国の大統領候補がビットコインのカンファレンスで熱弁を振るうなんて、ちょっと現実なのかわからず、3度見するような事態が起きていますね。
そして今、ビットコインは過去最高値の更新を目前に控えています。しかし、この上昇は序章に過ぎないのかもしれません。なぜなら、私たちの社会に潜む、ある興味深い現象がビットコインの更なる普及を後押しする可能性があるからです。
本記事では、一見矛盾するようですが、社会の寛容さが失われていくことが、逆説的にビットコインの支持基盤を広げる可能性について探ってみたいと思います。
デジタル時代のゴールドとも呼ばれるビットコインが、なぜ社会の分断という負の現象から恩恵を受けうるのか——その背景にあるメカニズムを紐解いていきましょう。
急速に広がる「対立陣営への嫌悪」:SNSとドーパミンの影響
米国における寛容性の低下と社会の分断は、近年多くの研究で指摘されている重要な社会現象です。PEW研究センターが2014年に実施した調査結果のグラフがわかりやすいかもしれません。
このグラフから、以下のポイントが読み取れます:
- 共和党支持者の36%が民主党を「国の幸福への脅威」と捉えている
- 両党の支持者とも、相手党に対する「非常に好ましくない」感情が1994年から2014年にかけて大幅に増加している
どうも自分と反対の意見を持つ相手を理解しようという考え方が、少数派に変わっていってますね。
この社会分断の主要な要因の一つとして、ソーシャルメディアの影響がよく指摘されます。特に注目されるのは「エコーチェンバー」現象です:
- 自分の主張と近い意見だけがタイムラインに表示される
- 結果として、異なる意見に触れる機会が減少する
SNSが人を引き付ける理由の一つに、脳内物質であるドーパミンの作用があります。
私達の脳は、不確実性が高い状況の中で得られる「勝ち」を得る時、もっともドーパミンを放出することが分かっています。
自分が投稿したポストが、どれだけSNS内で評価されるかは誰にもわからず、投稿者本人にとっては不確実性が強い行為です。
よってバズったりすると、脳内で大量のドーパミンが放出されます。この仕組みが、SNSへの依存や、意見を極端に尖らせてしまう背景になっているのかもしれません。
SNSで脳内ドーパミンを得ることが日常となってしまうと、人に対する関心がなくなってしまったり、その結果、孤立をしてしまったりする可能性が高くなります。
なぜなら、脳内麻薬がSNSで充足されるようになると、他者との関係性で得られる報酬の代わりになってしまうからです。