BCHコミュニティが、マイニング税の導入をめぐって、マイナー同士が対立し、いつもの紛糾がはじまっています。
BCHはもはや草コインですから、それ自体はどうでもいいとしても、この導入の方式や強行手段などを考えると、他のコインでも学びがあると考えて、題材のひとつとして取り上げてみようとおもいます。
マイニング税とはなにか?
まず、マイニング税とはなんでしょうか。正式には、Infrastructure Funding Planといわれています。
イーサリアムを筆頭にプレマインがあるものでは、予め開発者のためににコインの割当があり、そこから運営予算を捻出しています。
BCHはそれがないので、競争力を強化するために、開発者への報酬を作ろうというのが趣旨です。
具体的には、マイニングで得られた新規BCHの12.5%を開発者報酬として徴収します。当然マイナーの取り分はその分け減ることになります。
今年の5/15からスタートし、まずは半年間実験されるようです。
BCHは春に半減期を迎えますから、それを考慮すると、
6.25 * 12.5 % * 6ヶ月 * 300ドル
= 6,176,250 ドルになります。
日本円にして7億円程度ですので、草コインの運営者が自らの懐に収めるお金とくらべると謙虚な額ではありますw。市場への影響としては大きなものはないでしょう。
筋のわるい導入方法
こうしたマイニングから一定のコインを控除する方法は、ZCASHやBeamでも実施されており、方法自体は問題ありません。しかしながら、ZcashやBreamはローンチ時に予め組み込まれていたものであって、事後的に導入されるのはBCHが初めてのケースです。
事後に導入するにはどうすればよいのでしょうか?
12.5%の控除は、マイニングの際のコインベーストランザクション[1]にマイナーがボランタリーに書き込むようにするようです。
つまり、プロトコルに規定するのではなく、大手マイナー間でボランタリーとして導入するようです。
全マイナーが一致すればソフトフォーク[2]ということになるのでしょうが、現在はすくなからずのマイナーが反対いています。そのなかで多数はマイナーの意向導入を強行しようとしています。
もしこれに従わないマイナーがいたらどうなるのでしょうか? 開発者報酬をふくめず、ぜんぶ自分たち宛に採掘したブロックが掘られたらどうなるでしょうか?これはこれでプロトコルとしては無効にはなりません。
しかし、大手のマイナーたちは、こうしたブロックは、オーファンにさせる、短いチェーンにさせるといっています。
つまり、そうしたブロックの後に自分たちのブロックを繋げないことによって、短いチェーンとして消滅させるということです。
いわゆるハッシュウォー。51%アタックをかけるという宣言と同様ですね。ボランタリーに導入する仕組みを「強制」させる。これは自己検閲ではないでしょうか。
多数派マイナーによる強制は自己検閲である
開発者報酬という目的自体にも賛否両論があるにしろ、基本的には善意でやっていると理解しています。しかし、これは、51%以上のマイナーたちが結託すればネットワークの支配できてしまいます。